2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654076
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
浦川 順治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (00160333)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 誘電多層膜破壊 / レーザパルス蓄積 / 光共振器 |
Research Abstract |
複数の高反射率ミラーを組み合わせることによって、パルスレーザ蓄積光共振器が構成できる。リング型光共振器構成にした場合の最も実用的なものは平面4枚ミラー光共振器と3次元4枚ミラー光共振器である。一方、パルスレーザ蓄積を行うには、光共振器内をレーザが一周する時間と外部からの入射レーザパルスの周期および、レーザ光の位相も一致させなければならない。我々の研究グループは、共鳴条件を高精度で維持する技術を開発して光共振器内のレーザ平均パワーを100kW以上にすることができた。パルスレーザ蓄積装置は基礎物理実験から高輝度偏極光子ビーム生成まで、応用上非常に重要な装置になってきた。蓄積平均パワーを数MW にすることを目的にして、高強度電磁場による誘電多層膜破壊や熱効果による変形破壊の閾値を実験的に調べる。 ミラー間10.5cm 平面小型4 枚ミラーリング型光共振器を製作した。一方、既存の3次元4枚ミラー光共振器中にCW-2.6kW蓄積をした時、熱効果によるミラー変形が起きることを実験的に確認した。原因は高反射率ミラーの表面汚染(OH)によって光子吸収率が100ppm以上に成った為である。今後、光子吸収率を1ppm以下に保つためにclass 10のクリーン室で光共振器の組み立てを行う。また、出力パワー600mWの714MHz モードロックレーザ発振器を使って、新しく製作した小型2次元4 枚ミラーリング型光共振器の特性測定を終了した。この小型光共振器を真空装置中に入れ、真空度10E(-6)Pa 以下にできた。次年度714MHz モードロックレーザー発振器のレーザーを増幅してレーザパワーを5W以上にする。さらにBurst Amplification Systemで入射レーザパワーを200Wにする。光共振器の増倍率は1000倍になっているので200kW蓄積での破壊試験が可能になる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では10000倍の増幅率を達成する予定であったが、ミラー表面汚染の為反射率が低下したので1000倍程度の増幅率になった。しかし、ミラー破壊実験を行う為の小型光共振器を製作して、その特性測定を終わらせ、次年度から系統的な破壊実験が行えるように成ったので、達成度は90%以上である。その主な理由は以下の成果が得られたからである。 高反射率誘電多層膜ミラー(99.99%)の高強度電磁場による誘電多層膜破壊や熱効果による変形破壊の閾値を実験的に調べる装置として、小型2次元4 枚ミラーリング型光共振器を製作して真空装置内に設置できた。別の研究で使用している大型の光共振器中に10psec(laser pulse width)のレーザーパルスをBurst Amplification 後入射することによって100kWまでミラー破壊が起きないことを確認した。また、CW-2.6kW蓄積によるミラー形状の熱変形効果によっておきるレーザーオプティックスの変化測定ができた。その測定によって、ミラー表面汚染の問題が明確になった。小型光共振器による系統的な誘電多層膜破壊試験は平成25年度に行える。
|
Strategy for Future Research Activity |
超高真空仕様の小型4 枚ミラーリング型光共振器を真空チェンバーに設置した。真空度を10E(-6)Pa 以下にして、714MHz モードロックレーザー発振器のレーザー出力を入射窓から導入する。ピエゾ圧電素子による共鳴状態維持フィードバック試験と実験系の性能確認を行い、性能上の問題が無ければ、Burst Amplification System をレーザー発振器と共振器の間に設置して、入射レーザーパワーを100 倍以上にする。入射窓は高パワーレーザーに対して実績のあるサファイヤ窓を使う。以上の実験条件を全て満足させることができれば、共振器内の平均パワーは600kW になる。パルス幅10psec、レーザー収束サイズ10um と仮定すると、球面ミラー上でのレーザーサイズは418umである(小型共振器で球面ミラー間が10.5cm である)。よって、平均パワー密度は27.2MW/cmE2、ピークパワー密度は3.84GW/cmE2 に達することになる。レーザー収束サイズを20um に変更することは可能であるので、まずBurst Amplification System の増幅率を調整して、平均パワー密度に関する破壊閾値の測定を行う。その後、レーザーパルス幅を3psec まで圧縮して、ピークパワー密度に関する破壊閾値測定を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小型光共振器設計に予想以上の時間を要したので、レーザー入射光学系等の予算執行を次年度行うことになった。 24年度に製作した小型光共振器の増大率は1000倍程度であったので、その増幅率を上げる為に新小型光共振器改良に100万円程度使用する。また、レーザーの入射マッチング調整に光学部品が必要になる(10万円程度)。成果報告の為に20万円程度の経費が必要である。
|