2012 Fiscal Year Research-status Report
スピンコヒーレンスの新規検出法の実証と電子スピン高速制御への展開
Project/Area Number |
24654079
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 智 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221722)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スピンコヒーレンス / スピン位相 |
Research Abstract |
スピンコヒーレンス研究は半導体スピン物性の中心トピックスであり,今なお盛んに研究されている.そこではハンル効果と時間分解ファラデー(カー)回転が主に用いられている.これらは磁場下でのスピンコヒーレンス(縦スピン緩和ではなく横スピン緩和)のアンサンブル平均を測定することができる.しかし零磁場下,異方性・不均一広がりのある系での真のスピンコヒーレンスの直接的精密測定法はこれまで実現されていない.本研究は物質中の電子(または正孔,原子核,励起子)の持つ最大のスピンコヒーレンスを引き出すことを目的に,スピン位相回折格子の概念の確立と実証を目指している. H24年度は,スピンコヒーレンス新規検出法として,位相マスクを用いた3パルス四光波混合光学系の構築し,CdTe/CdMgTe 量子井戸を用いたスピン位相検出原理実証実験を行った. 上記の光学系は過渡回折格子法であるが,同時入射する2つのポンプパルスの偏光を直交直線偏光としたとき,試料上に楕円率変調を起こし,スピン密度回折格子が誘起される.この回折格子の減衰をモニターすることにより,縦スピン緩和が測定できる.これに対し,ポンプパルス対を直交円偏光とすると,空間的に配向変調を起こし,スピン位相回折格子が誘起され,スピンコヒーレンス(横緩和)を測定することが可能であることが実験的にも分かった.この実験結果は時間分解カー回転法による試料内の残留電子のスピンコヒーレンス測定結果と比較し,スピン回折格子が形成されていることを実証した.これらの成果については学術論文として投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請までに準備実験をしてきたことで、おおむね計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したスピン位相回折格子法を用いて、量子ドットや量子リングのスピンコヒーレンス測定に適用し,核磁場揺らぎや電荷揺らぎがコヒーレンスに与える影響について実験的に調査を行う.今年度は発光のオーバーハウザーシフトの時間分解測定を行い,核磁場揺らぎが~40 mTであることが判明している.また電子スピンの高速制御実験を試行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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