2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子ホール電子スピンイメージングによる半導体ポテンシャルゆらぎの高感度あぶり出し
Project/Area Number |
24654083
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
音 賢一 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30263198)
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Keywords | 半導体 / メゾスコピック / スピンエレクトロニクス / 量子ホール効果 / 2次元電子系 / 電子濃度揺らぎ / 量子井戸 |
Research Abstract |
近年の極めて微細な構造をもつ半導体デバイスでは、材料の高品質半導体中の電子濃度などの特性パラメータの空間的均一性が重要であるが、汎用の半導体評価法では、マクロなスケールで平均化された量しか得られない。本研究では、半導体2次元電子系を低温・磁 場下で量子ホール状態にしたときの、電子によるポテンシャル遮蔽効果が効かない特異な性質と電子スピンの偏極度が、局所的な電子状態を極めて鋭敏に反映すること用いて、2次元電子系の電子濃度の局所的ゆらぎの程度とその空間分布について光磁気カー効果を 用いた電子スピン偏極度の高感度計測とそのイメージングにより調べる。高品質な2次元電子系半導体を対象に、遮蔽効果のベールを引き剥がした真の半導体評価法としての定性的・定量的能力を探ることを目標とする。 (1)現有のKerr効果を用いた低温強磁場での電子スピン偏極度のイメージング装置をさらに高感度化し時間的安定度を高めるため、光学系の小型化・高剛性化を図り、雑音の抑制のため信号を高周波ロックイン検出法により行えるように改良した。 (2)空間分解能の向上のため高NAのレンズを用いた光ヘッド部分の改良試作を行った。これらの改良により、0.1%以下の僅かな電子濃度ゆらぎについて再現性良く可視化できることを実証した。 (3)Kerr効果の信号の励起波長依存性や磁場依存性を組み合わせて行うことで、量子井戸の厚みのゆらぎを評価し、1原子層の厚み揺らぎを明瞭に検知可能であることを実証した。このことと、局所的な電子濃度の揺らぎの情報を合わせて、電子スピンイメージングの結果を定量的に解析することで、より高精度な半導体試料の新評価法としても有用であると考えられる。これらの成果について、平成25年度に開催された日本物理学会等で成果発表を行った。
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