2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60451788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 行志 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20466775)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 光物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
2012年度は主として初期的データの再現に取り組んだ。単一の架橋カーボンナノチューブに対し、フォトルミネッセンスを介して光吸収を検出するという手法により、円二色性の測定を行った。シリコン基板上に溝を加工し、触媒を脇に配置した上でアルコール化学気相成長法により単層カーボンナノチューブを合成した。カイラル指数(9,7)の単層カーボンナノチューブに着目し、10本程度において左右円偏光の吸収に2倍程度の差が生じることを確認した。現段階では得られている円二色性の大きさや符号はまちまちであり、右巻き・左巻きに対応していると結論付けるのは難しい。あまり大きな波長依存性は見られず、理論で想定できていない現象である可能性を示唆するデータを得ている。 また、次年度に向けて円二色性の測定系構築に取り組んだ。円偏光を得るための波長板を回転した際のレーザー集光位置のずれを定量的に計測し、アクチュエーター付きミラーでその位置を補正するシステムを導入した。また、カーボンナノチューブと光軸間の角度依存性を測定するための試料位置調整システムを構築した。これは三次元移動ステージおよび回転ステージからなり、測定中のカーボンナノチューブの光軸との角度と試料座標系における位置を入力すると、回転ステージで角度を調整した上で座標変換を行って三次元移動ステージにより同じカーボンナノチューブを対物レンズの焦点位置まで移動するシステムである。さらに、移動ステージの精度を補うため、角度変更後にはフォトルミネッセンスイメージを利用してナノチューブに対して精度よく焦点を合わせる機構を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では多数のナノチューブを測定することにより再現性と対称性を確認するとしており、今年度の進捗状況は計画とほぼ同じであると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、円二色性の角度依存性およびカイラル角依存性について調査し、その起源を明らかにすることを目指す。今年度行った測定系の構築によりデータ収集効率が上がったため、来年度には解析を行うためのデータ蓄積ができる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
円二色性の角度依存性およびカイラル角依存性について調査を行うための測定系の改良や試料準備に必要な部品費および設備使用料を中心に支出する計画である。
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Research Products
(12 results)