2013 Fiscal Year Annual Research Report
オンチップ・テラヘルツ検出による量子ホール系の単一光子検出と光子数揺らぎの研究
Project/Area Number |
24654085
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生嶋 健司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20334302)
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Keywords | 量子ホール効果 / 量子ドット / テラヘルツ |
Research Abstract |
本研究の目的は、強磁場中2 次元電子系(2DES)で実現される量子ホール端状態を注入電流とした点光源と単電子制御による量子ドット単一光子検出器を利用して、固体上の電磁場を発生から伝送・検出まで完結して制御するオンチップ量子光学系を構築することである。特に本研究では上記点光源からコプレーナ導波路を用いてテラヘルツ光子を量子ドットに伝送することに着目する。 平成25年度は、2.11 THzの周波数に設計したコプレーナ導波路(two-split line)を用いて量子ホール端状態からの発光を量子ドット単一光子検出器へ伝送するデバイスを測定した。測定系のノイズ低減により、さらに明確に発光閾値電圧およびIV特性における閾値電圧が明らかになり、発光の閾値電圧が5.2 Tで7 meVであり、サイクロトロンエネルギー(9 meV)に比べて2割ほど低いことを確証した。その原因は、交換相互作用によるスピン分裂の増大であると考え、閾値電圧に対して2次元電子層と磁場のなす角度依存性を測定した。その結果、サイクロトロンエネルギーと閾値電圧に相当するエネルギーとの差(スピン分裂と仮定している)について以下のことが判明した。(1)高次のランダウ準位ほど、エネルギー差は小さくなる、(2)磁場の大きさBtotに関してほぼ一定、(3)占有率3から2への遷移に対して、実験誤差を超えるBtot依存性が有意に観測される。(1)に関しては、ランダウ準位の縮退度を考慮すると理解できる。(2)に関しては端状態のcompressible regionではすでにスピン偏極率は飽和しており、compressible regionとimcompressible regionの比率が磁場により異なるバルク状態とは異なることを示唆する。(3)についてはまだ未解明であり、面内磁場による効果の可能性がある。
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Research Products
(10 results)