2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654089
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
狩野 旬 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (50375408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 英樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60579556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 誘電体 / 触媒 |
Research Abstract |
我々は,(1)強誘電体表面にナノサイズの酸化しない卑金属粒子が安定に存在すること,(2)炭化水素結合から水素を発生するという触媒機能を有すること,を世界に先駆け発見した.この新現象は,強誘電体が持つ強い電場が卑金属表面の酸化を妨げると解釈している.強誘電体はpn接合と異なる形で強い電場を有し,その強さは制御可能である.誘電性による触媒能の発見は,燃料電池の電極,石油・NOx・SOx改質技術へのブレークスルーとなりうる. 本研究は,強誘電体が内包する分極揺らぎによってアシストされる触媒能の基礎的解明を目的とする.一連の成果として,誘電体触媒の動作過程を半導体特性,とくにエネルギー準位図を描くことでモデル化することができた.また金属種はPbに限られていたが,Ag,Biでも良質な金属―強誘電体界面接合が実現することを確認できた.また誘電性によりアシストされる触媒活性の温度依存性を貴金属―強誘電体の系(Pd/BaTiO3)で見出すことに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は誘電体触媒を提案し,本研究で原理解明および実施例となる物質群の探索を行うことを目的としている。 この1年間では,具体的な誘電体触媒のモデル化,および強誘電体が内包する分極揺らぎが触媒能をアシストする現象を示す物質を発見することに成功した。本研究は,申請書にも書いたように物性物理学を基盤とする大学側のグループ(研究代表者含む)と,実用化を期待する企業との共同研究によって実施されているが,研究期間1年目の最後に分極揺らぎが触媒能をアシストする物質群について特許出願することができた。その知財化を待って,本成果は論文に投稿する予定である。 よって,現在までの達成度は研究期間2年目の作業をすでに始めているため,当初以上の進展と結論つけた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記したように,メスバウアー分光による強誘電体表面に担持された金属の電荷揺動が1年目の研究で明らかになった。現在,詳細な解析を進めてあり,結果がまとまり次第論文化させる予定である。また,分極揺らぎが触媒能をアシストする物質群Pd/BaTiO3の系についても,さらに実験を進め,誘電体触媒の原理をモデル化させたものとあわせて論文公開する予定である。他の物質群についても現在協力企業と探索中であり,新しい系が発見され次第,知財化および論文公開を目指して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究期間1年目でおおよそのシステムは立ち上がった。現在は,そのシステムの自動測定化を目指している段階であり,そのための支出(電磁駆動バルブ,通信インターフェイス,ソフトウェア代,およびガス,ガラス器具などの消耗品)に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)