2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654096
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相馬 清吾 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (20431489)
|
Keywords | 角度分解光電子分光 / トポロジカル絶縁体 / 界面 / スピントロニクス |
Research Abstract |
現存する多くの3次元トポロジカル絶縁体は菱面体晶の結晶構造を持ち、3回対称性を有する(111)表面において単一の表面ディラック電子状態が発現する。それらの様々なトポロジカル絶縁体について高分解能ARPES実験を行った結果、表面バンドにおいて物質の種類に強く依存した六回対称の歪みを観測した。スピン分解ARPES実験により、これらの表面ディラック電子状態は共通して面内ヘリカル方向のスピン偏極度を示すが、その一方で物質の種類に依存して、面直方向にも有限のスピン偏極度を示すことを見出した。数値的フィッティングにより、バンドの歪みを定量的に評価した結果、スピン面直成分とバンドの歪みには明確な相関関係がある事が分かった。また、スピン面直成分の実験値は、k-p摂動論や第一原理計算における予測の半分程度であった。スピン面直成分の存在は、これまで面内ヘリカル構造を仮定してきた表面ディラック電子状態について、磁場との結合や準粒子の散乱過程に大きな変化を与える。本研究成果は、表面ディラック電子のスピン偏極度とバンド形状の相関関係を初めて示したものであり、基礎実験やデバイス応用などにおいて、トポロジカル絶縁体のスピンを制御する上での実験的指針を与える。また、エッジ状態の観測を目的として、Si(111)面上にBi金属薄膜を作成した。AFM実験を行った結果、layer-by-layer成長をさせたBi薄膜の最表面ではGK方向を辺とする三角形状のアイランドが単層膜として成長していることを見出した。高分解能ARPES実験によりK点近傍のバルクバンドギャップ内にGK方向に明確な分散を示すバンドを観測した。このバンドはGM方向には全く分散を示さない事から、GK方向のエッジ状態に起因した1次元バンドであると結論した。
|