2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654099
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 哲也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10189532)
|
Keywords | 超伝導 / サブナノ粒子 / ジョセフソン接合 / 量子化磁束 |
Research Abstract |
YBaCuO系超伝導体のサブナノ粒子を合成し、マイクロ波顕微鏡を用いてその磁気特性を調べた。サブナノ粒子をエタノール中に分散させ、これをガラス上に展開して試料とした。3Kにおいてサブナノ粒子集合体の磁束分布を測定した結果、明瞭な磁気シグナルを観測した。各粒子のサイズはコーヒーレンス長さと同程度であり、粒子内部に量子化磁束が形成させるとは考えにくい。実際、観測された磁束量は量子化磁束Φ0とは異なる値であった。従って、上記の結果は、サブナノ粒子がジョセフソン接合で結び付いた環状の構造が形成され、その内部に捕捉された磁場を観測したものと解釈できる。YBaCuO系サブナノ粒子は、安定化のため表面を有機分子で修飾しているが、修飾分子を介してジョセフソン接合が形成されたことになる。一方、外部磁場を印加しても、マイスナーシグナルは観測されなかった。これは、サブナノ粒子塊のサイズが小さく、試料全体としては、磁場を排除する効果が小さいものと考えられる。 以上より、本YBaCuO系サブナノ粒子が、当初の予想通り、ジョセフソン結合で結ばれたネットワークを構築していることが確認された。ただし、温度上昇に伴い、補足磁場は消失したことから、超伝導転移温度の上昇は確認できなかった。
|