2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30170773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石政 勉 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10135270)
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Keywords | 準結晶 / 量子臨界 |
Research Abstract |
H25年度の研究計画として、準結晶試料中の欠陥などと物性との関連を調べた。その結果、低温電気抵抗の温度依存性のべき乗則におけるべきが試料に依存することを見出した。たとえば、温度の1次関数に従う準結晶だけでなく、0.8乗に近いべき乗則を示す準結晶も存在する。同様の研究を近似結晶に対しても行い、類似の試料依存性を見出した。これらより、輸送現象に関しては、試料依存性の大きいことが判明した。また、準結晶および近似結晶に対し、熱起電力の温度依存性を測定した。その結果、低温で(負の)ピークを形成する試料を見出した。さらに、同型の構造をもつ準結晶および近似結晶を合成し、その磁気測定から、Au-Al-Yb系が価数転移の近傍にあることを見出した。 H24およびH25年度の2年間の研究期間において、以下のことを明らかにした。(1)これまでヘリウム4温度域に留まっていた比熱の測定を1K以下の極低温まで実行し、約80mKの低温まで対数発散的な増大を示すことを見出した。これは、本研究計画以前に見出していた交流磁化率の異常発散に対応するものと考えられる。(2)Sommerfeld-Wilson比を求めたところ、ゼロ磁場で10を超える大きな値をもつことを見出した。これは、強磁性的な揺らぎが発達していることを示すものである。(3)1.5GPa程度の高圧まで加圧し、交流磁化率の測定を行った結果、準結晶の量子臨界性が圧力印加に対し不変であることを見出した。従って、現時点では準結晶における磁気秩序(などの長距離秩序)を見出すには至っていないが、現在、さらに高圧の実験を目指し、準備を進めている。(4)近似結晶に対する高圧下実験を行い、準結晶とは質的に異なる振る舞いを見出した。これは、上記のような準結晶の物性が準結晶特有の性質であることを強く示唆するものである。
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Research Products
(6 results)