2014 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導転移の揺らぎ効果を精密にとらえる新しい線型・非線型電気抵抗測定手法の開発
Project/Area Number |
24654104
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 亮 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (70198654)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気抵抗測定 / 超伝導転移 / 微小電気抵抗 / I-V特性 / 電流掃引 / パルス電流 / 自己発熱 / 非線型解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超伝導体の電気抵抗消失過程等、温度敏感性をもつ材料の電流(I)-電圧(V)特性を、精密かつ正確に追跡するための新しい測定技術を考案し、実際に装置系を構築して、産業界を含む公共の益に供する事を目指して実施された。計測法のベースは、パルス電流に対する応答電圧を3点差分をとりながら掃引・取得する方式であるが、通常の掃引方法では、試料やその端子部分の自己発熱が電流によって変わるため、試料温度が電流に応じて変動し、真のI-V特性が計測されない問題があった。本研究による新技術は、電流パルス高を、進行位相θに対するsinθとcosθの交互値として掃引することで、これら関数の2乗の和が1になる関係に基づき、発熱を決める電力の時間平均を一定に保つものである。これにより、電流と相関する温度変動が防がれ、相転移に伴うI-V特性の変化を追跡することが可能になる。この手法は、超伝導材料に限らず、大電流で使用するパワーデバイスや、相変態による温度敏感性を示す金属材料等の物性評価に広く適用でき、産業応用への発展も期待できる。その応用性と新規性に鑑み、この成果は、発明として、特許出願につなげた(特願2015-70313, 2015-3-30)。 なお、この測定で得られたデータを並べ替え、電流値が一つの正弦波の位相順に変えた場合の波形データに直すことができる。この電圧波形をFourier解析して得た高調波を使い、V(I)のTaylor展開係数としての非線型係数を求める数学的関係を明らかにした。 また、Y系超伝導体のPr置換型系:Pr247とPr124を対象として、還元処理による電気抵抗の温度依存性の変化を調べた。赤外線ランプ炉等を用いて綿密に真空還元条件を変えて実験したところ、還元されたPr247焼結体は、表面から内部に向かい酸素欠損が傾斜的に減ずる性格をもち、このことが、高温側の半導体的な温度特性を残したまま低温領域で超伝導に向かう特異な挙動の原因となることを解明した。
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Research Products
(7 results)