2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 年史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80207183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 光 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30153018)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カイラリティ / ジョセフソン接合 / 超伝導 / カイラル秩序 |
Research Abstract |
銅酸化物超伝導セラミックスで期待される、超伝導グレイン間電流ループにより生じる自発的磁束フラックスの検出を目的とするセンサー(微小コイル)および SQUID による測定手法、データ解析を含む装置開発を開始した。 研究計画に沿い、現有装置である QD 社製 model 5000 dc SQUID コントローラと SQUID 素子を用いた SQUID システムの立ち上げを行った。まず、市販の超伝導線を用いて試料全体の磁束密度測定用のコイルを作製し、現有 SQUID 素子の特性評価を行うとともに実験室環境でのノイズレベルを計測した。測定系が設置してある実験室は、複数の研究室が使用し、人の出入り、他の実験によるノイズなどが予想され、本研究課題遂行のためにノイズレベルを極力落とす必要がある。そのための方策を考案し、ノイズレベルの評価を開始した。ノイズレベルの計測・評価と平行して、数値計算用ソフトウエアを導入し、微小コイルの設計を行った。様々なコイル形状、コイル設置方法での数値計算を行い、最適な測定条件を探索している。 ノイズレベルの低減のための方策として、高透磁率材料(ミューメタル)による遮蔽、試料空間の超伝導物質による遮蔽(試料空間のハンダメッキ)、電源ラインノイズ対策として、絶縁トランスを使用することを考えているが、現在期待したノイズレベルには達していない。ノイズレベルの評価を開始した直後(平成24年12月)、作製した測定系の測定装置の一部が破損し、急遽その対応に迫られた。分担者と協議し、本年度分担者への配分予定であった分担金を、代表者が使用し破損機器の代替を行った。分担者の承諾を得て、分担者への分担金は次年度以降に再度検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、本研究課題遂行のために作製した測定系の装置の一部が破損し、急遽対応を迫られたため、当初計画していた達成度に比較してやや遅れている。幸いにも、破損した機器は経費内で購入可能な物品であり、比較的早く入手可能な一般的な測定器であったため早急に購入し、現在全力で復旧を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在測定系の復旧を全力で行っている。早期に測定系の回復を行い、当初計画していたノイズレベル低減のための方策の効果を順次評価する。破損機器の代替のため測定器を購入したことにより、当初予定していた微小コイルの作成・購入が可能かを再度検討しなければならない。可能であれば、当初の研究計画に沿い、通常サイズのコイルと微小サイズのコイルの同時測定による、空間スケールの違いによる磁束密度の発生の差を測定することを試みる。予定していた微小コイルの作成・購入が不可能な場合、コイル素材の変更などを再検討してみる。また、この案も不可能な場合の代替案も検討している。各グレインが超伝導状態になりグレイン間に電流ループが形成された状態と、その局所的電流ループがある種の秩序を形成した場合では、局所的電流ループにより生じる磁束の揺らぎは大きく異なるはずである。この場合、通常コイルに生じるノイズのパターン、つまり電流ループのランダムな凍結によるノイズの周波数スペクトルの低周波側に、二つの状態の間で大きな差が生じると考えられる。このことは、一例ではあるが磁性体に関して報告例があり、同様の現象を今回の超伝導ループ電流の秩序化でも観測可能ではないかと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度分の分担者への分担金を急遽、破損機器の補充にあてたことを考慮し、今年度は分担者への配分を優先し、磁束の理論計算を進める。研究計画では、当初より大型物品の購入は考えいない。今後の研究の推進方策で述べたような様々な状況に対応するため、物品費は測定系完成のための消耗品と、調査・成果発表のための旅費を中心に研究費を使用する計画である。
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