2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 年史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80207183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 光 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30153018)
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Keywords | ベクトルカイラリティ / 電流ループ / ジセフソン電流 / 磁束測定 |
Research Abstract |
近年、フラストレート磁性体等でカイライティの秩序化、つまり、カイラリティを秩序変数とする秩序相の存在が話題となっている。三次元ハイゼンベルグスピン系と考えられる希薄磁性合金スピングラス(SG)では、異常ホール効果の測定から、SG転移がスカラーカイラリティを秩序変数とする相転移である可能性が示された。しかし、合金系では不可避に存在する磁気異方性のため、スピン-カイラリティ混合が起こり、カイラリティの秩序化はスピンの秩序化と同時に起こってしまう。一方、もう一つのカイラリティ秩序化観測の有力な系として、セラミックス高温超伝導体YBa2Cu4O8(YBCO)が長年研究されてきた。この物質はd波超伝導体と考えられ、グレイン間のジョセフソン結合(π結合)による閉ループにはフラストレーションの効果が現れる。その結果として零磁場下でも超伝導ループカレントが生じる新しい秩序相-カイラルグラス相-が現れるとの理論的な予測がある。この系は異方性が存在しない(理想的な)XYスピン系と考えられ、秩序変数はベクトルカイラリティである。ベクトルカイラリティに対応する電流ループによる磁束とその秩序化の直接観測を目指し、微小領域に出現する磁束の直接観測の可能性を検討した。 電流ループによる磁束の評価を行うための現実的な対応として、文献を参考に酸化物超伝導体のジョセフソン電流の実測値を調べ、本研究で測定予定の超伝導体焼結体の平均粒径、ループ電流の平均半径を1[μm]程度とすると、最大磁場は10^-4[G]となり、通常金属薄膜による微小コイルでも測定可能であるとのと数値計算の結果を得た。通常は超伝導体をコイルに用いるが、より加工が容易で動作温度に制約がない通常金属、たとえば 銅、銀、金などを用いることができるとの重要な可能性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、超伝導体を微小コイルとして用いる方法は、本研究が幅広い温度範囲での測定が必要なため、実現が困難であることが判明した。そこで測定法を再考し、作成が容易なコイルを用いたときに、理論的に予測された現象による磁場(磁束)が測定可能かの評価を行った。実験方法の再考のため、当初の予定よりやや遅れているが、コイル作製が容易になり、期間内の研究遂行が可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
微小コイル作成方法をその材料を含め変更したが、共通利用可能なレーザー加工機で通常金属を用いて微小コイルの作成を行う。具体的には、入手が容易で安価な銅フォイルを用いてコイルを作製する。測定感度を向上するために同型のコイルを二つ作製し、作動増幅を行うことで、目的の感度を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた実験方法(微小コイルの作成方法)を変更したため。 新たに、当初予定していなかった純金属フォイルの購入にあてる。
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Research Products
(1 results)