2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 陽介 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30304033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 祐介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10403172)
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Keywords | 非線形局在モード / 局在振動 / エネルギー局在 / 周期構造 / 離散系 / 非線形格子 / 検証実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は非線形局在モード(Intrinsic Localized Mode:ILM)の励起を実験的に検証することである。ILMとは離散周期構造において励起される安定な局在振動であり、今日、系自身の離散性と系に内在する非線形性により励起される普遍的な非線形振動として認知されている。ILMに関する研究はこれまでに様々な離散周期系を対象として広く行われているが、その多くは解析や数値計算を中心とした理論研究であり、実験研究は極めて少ないのが現状である。 本研究では、力と伸びの関係が強い非線形性を示すメカニカルなバネ(非線形バネ)および、この非線形バネと多数のおもり、加振装置からなるシンプルな連成振動子列(非線形格子)を作成し、モード励起実験をおこなった。非線形バネは復元力の大きさが伸び縮みの大きさ(変位)に対して急激に大きくなる強いハードスプリングで、変位の向きに関してほぼ対称な復元力を与えるバネの量産に成功した。このバネを用いた本振動子列は格子力学の理論研究でよく知られたFermi-Pasta-Ulam(FPU)ベータ型非線形格子をうまく具現化した実験系であるといえる。 実験では加振振動数を上げるに従い、次々と線形固有振動モードが励起される様子および、線形固有振動数の上限を超えてさらに加振振動数を上げると、局在した強い振動が加振端で間欠的に発生し、次々と系を伝播する様子を観察することができた。モーションキャプチャーシステムを用いた解析により、これらの局在振動が線形波の振動数よりも高い振動数をもつ非線形振動であることが明らかになった。またこの実験結果は、減衰効果と加振端をもつFPU格子に対する数値計算で得られた系の挙動と定性的に一致しており、移動型のILMの励起実験に成功したといえる。本研究の成果は物理系学術雑誌および次年度に開催される二つの国際会議で、動画とともに発表、報告する予定である。
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Research Products
(2 results)