2012 Fiscal Year Research-status Report
ロウソク火炎群の非線形振動・同期から俯瞰する気象現象のパターン動力学
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24654125
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三池 秀敏 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (10107732)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形振動子 / 拡散火炎 / 同期 / 気象現象 / パターンダイナミックス |
Research Abstract |
本研究では、複数のロウソクを束ねて燃焼させたときに観測される炎(拡散火炎)の振動現象から、気象現象における自己組織化のメカニズムを展望している。すなわち、複数の振動するロウソク火炎の同期現象から、ロウソク火炎が非線形振動子として振舞うことを見出すとともに、火炎群の同期現象が気象現象における共同現象のダイナミックスに通じると考えている。特に、ロウソク火炎上空には回転する対流が発達し、竜巻状の渦流となって下降し、炎にタッチダウンした時に火炎新動が開始する事を最近見出していた。 本研究では、このロウソク上空の渦流の発達過程を観測し実験的にそのメカニズムを明らかにするとともに、ロウソク火炎の特徴を持つ非線形振動子集団のダイナミックスを数値シミュレーションで明らかにしていく事を目指した。特に24年度は、 1)液晶プロジェクターを用いたシャドーグラフや、サーマルビジョンにより可視化し たロウソク火炎上空の対流速度に関する定量的な解析(空間フィルタ法の適用)を行 い、火炎振動発生時の高速 の上昇気流の存在や変動する流れの場(乱流)の特徴が 明らかとなった。 2)ロウソク火炎振動子群の同期現象のモデル化を前提として、よりシンプルなモデル として「蛍」振動子群の同期現象を「蔵本モデル」を適用する事で実現した。従来の 静止した蛍振動子モデルとは異なり、上昇する対流振動子としてのロウソク火炎や気 象現象とのアナロジーを想定し、振動子がブラウン運動する場合の同期現象への影響 や、振動子間の相互作用によるパターンダイナミックスの違いを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロウソク火炎振動子上空の流れ(対流)の可視化や動画像強調(モーションシャープニング現象を応用)、更には空間フィルタ法による対流の速度情報解析など一連の定量化手法が確立した事。また、このことによりロウソク火炎上空の対流が、火炎振動発生時にほぼ2倍近い高速上昇流を生じていることが確認できた。 また、振動子集団を模擬した蔵本モデルによる同期現象やパターンダイナミックスを数値実験で確認し、ロウソク火炎振動子集団のモデル化・数値解析の準備が出来た事。このことにより、25年度は、ロウソク火炎振動子の特徴である、振動子間の距離に応じた同相同期・逆相同期の特徴を組み込んだ新たな振動子モデルについての数値シミュレーションを行い、気象現象のダイナミクスとの相関を議論する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果を活かし、以下の方針に従って研究をすすめる。 1.ロウソク火炎振動時の上空の対流の速度情報の解析を進め、振動のメカニズムを再 構築し、新たな振動子モデルを提案する。 2.ロウソク振動子間の距離に応じて異なる火炎振動の同期現象が発生する際の、火炎 上空の流れの可視化・速度計測を進め、振動子間の相互作用のメカニズムを明らかに する。 3.1.と2.の成果に基づき、ロウソク火炎振動子集団のモデルを完成させ、数値シ ミュレーションを通して、大規模非線形対流振動子集団としての種々の気象現象(竜 巻や台風)発生メカニズムとの関連を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.24年度未使用額(99,993円)に対して ・物品費:99,993円(記録メディア、印刷用消耗品等を購入予定) 2.25年度請求額(1,100,000円)に対して ・旅費:600,000円(研究打ち合わせ:福岡一泊二日6人(九州大学及び福岡大学)、研究成果発表:札幌3泊4日2人(北海道大学)、千葉2泊3日4人(千葉大学))予定 ・人件費:300,000円(研究補助者謝金:データ整理、HP作成・管理)を予定 ・その他:200,000円(研究会開催費、研究成果出版費)を予定
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