2012 Fiscal Year Research-status Report
GPUを用いた高速プラズマ粒子シミュレーション手法の研究
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24654127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齊藤 慎司 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60528165)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | GPU / メニーコア演算 / 粒子シミュレーション |
Research Abstract |
24年度においては、最新版GPUを搭載した大容量メモリ計算機を導入し、GPU-CPU間のデータ転送およびメニーコア計算手法の検討を行った。特に非同期データ転送に着目し、GPU計算でのボトルネックであるデータ転送時間とGPUメモリ量の制限をどのように解消するかについて検討を行った。この検討の結果、非同期転送とストリーム計算を導入することで上記問題点を同時に解消することが出来るということを見いだした。この手法のイメージとしては、特定量のデータ単位パッケージをベルトコンベア式に計算機からGPUへ送り、結果を計算機へ滞りなく流す、というものである。この手法を適用することで、データ転送時間を隠蔽しながらGPU計算が可能となるだけではなく、GPUに搭載されているメモリ量よりも大きな計算メモリを必要とするシミュレーションが実行可能となった。これはGPUへのデータの入力と出力を同時に実行出来ることからきている。24年度末においては、この手法を粒子シミュレーション計算へ適用し、CPU内の1コアに対してどの程度の計算の加速が得られるのかを試みた。この結果、倍精度演算において最大で8~9倍程度の加速が得られた。8coreのCPUと比べるとほぼ同程度の計算能力を意味する。この手法および結果について、3月に行われたSTEシミュレーション研究会において口頭発表を行った。 24年度においてはGPUへのデータ転送時間の隠蔽手法とGPUメモリ量の問題を解消することに焦点を置いた。25年度においては、GPU内でのチューニングに着手し、また複数GPUを用いた計算手法について検討を行う。これに加えて今年IntelからリリースされたXeon Phiを用いたメニーコア演算についても情報を集め、GPUとの比較を検討出来ればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに必要機器(GPU+大規模メモリ計算機)の導入が行われ、またそれを用いたGPU演算手法の開発も順調に行われている。実施計画にあるGPU計算の粒子シミュレーションへの適用も年度内に実施され、現状で予想以上の高速化が得られた。一方で年度内で着手予定であった高速化チューニングまではまだ実行されていないので、25年度前半期にこの部分を集中的に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度においては、GPU内でいかに粒子計算部を高速化するのかについて検討する。現状ではGPUに与える1スレッドの計算において複数粒子の計算を実行しており、1スレッドの対する負荷が大きい状態になっている。GPU演算においては大量のスレッドを立てることが高速化の基本であるため、これを1スレッドに1粒子のみを割与える方法へ変更し、スレッド数を増やしたときにどの程度計算効率が上がるのかを検討する。また、GPU計算内でのキャッシュや共有メモリを用いたメモリチューニングに注目した高速化を検討する。これに加え同様のGPUをもう一枚追加し、Multi-GPUでの演算手法についても検討する。また、GPUを用いた計算で粒子シミュレーションを実行し、物理研究での成果も出して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降に使用する予定の研究費が生じた理由としては、大容量メモリ計算機が当初予定していた価格より格段に安く導入出来た点にある。また、年度内に追加で最新版GPUを導入する予定であったが、1GPUでの計算テストを優先し、追加導入作業を見送った。そのため、25年度前半において最新版GPUを追加導入し、Multi-GPUでの計算実験を行う予定である。また、GPU計算に必要なPGI-Fortranコンパイラのアップグレード等のためのサポートライセンス更新を行い、さらに研究の推進方策でも示したように、GPUを用いた計算で粒子シミュレーションを実行することで、運動論的プラズマ乱流研究に対する成果が期待出来るので、そのための研究発表旅費を使用計画として計上する。
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Research Products
(1 results)