2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654129
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 隆行 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80539510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超短光パルス / ファイバー位相変調 |
Research Abstract |
本研究では、連続発振光の高速位相変調を基礎として、光共振器に頼らないパルス光源を開発することで、ラマン過程をはじめとした差周波過程を共鳴的に励起することを目的とする。平成24年度はファイバー位相変調を用いた多重変調サイドバンド光の生成と、多波長光源の高強度化を目的としている。 本計画では、パルス光源の簡便な導入が重要である。計画の通り連続発振の半導体レーザーを調達し、スイッチ一つの予備動作無しでのレーザー発振を可能とした。この時、ファイバーカップリングによる光軸の不安定性を取り除くため、ピグテール付きのレーザーダイオードを採用し、光軸調整不要でシングルモードファイバーに導入されたレーザー光を利用できるようにした。 コム光源の周波数間隔を制御するファイバー位相変調器には、eospace社の位相変調器を採用しDCから40GHzまで連続的に変調できるようにした。これは現行考えられるパルス繰り返し周波数としては最高の周波数と変化幅を有している。光共振器を用いたパルス光源では最高周波数・周波数変調幅ともに実現はほぼ不可能である。 平成24年度の計画では、位相変調した連続光の高強度化までが目的であった。計画では高強度化に注入同期を用いることを予定していたが、ファイバーカップリングされた光を一度自由空間に取り出す際の損失が大きいことと、光軸ずれによるメンテナンスの必要性からテーパーファイバーアンプを用いる方式に切り替えた。テーパーアンプを用いれば、ファイバー内で光の変調と増幅が完結するので、光源としての有用性は飛躍的に向上する。本年度はテーパーファイバーの導入を始めたところであるが、メーカー側の仕様変更のため、導入は平成25年度となる。 上記の実績を踏まえ、平成25年度の早いうちに光増幅を完了し、予定通り非線形過程を用いた広帯域化へと移る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究初年度として、連続発振光源の準備、位相変調サイドバンドの発生、観測用の短いファブリペロー共振器の開発、およびサイドバンド光の増幅を目的としていた。このうち、光源整備からファブリペロー共振器の開発までは順調に完了した。しかし、光増幅については、(1)利便性の追求のためテーパーファイバーを採用する方式に切り替えたことと、(2)テーパーファイバーのメーカ側の仕様策定による出荷停止のため納入が平成25年度となってしまうことが理由で、平成24年度中には実施できなかった。しかし、当初の計画と違いファイバー内で光増幅を完了する方式としたため、目的の物品が納入されれば計画の遂行はむしろ容易となったと考えられる。連続発振光をファイバー位相変調器で変調し、光共振器では達成困難な繰り返し周波数と可変性を手に入れるなど、当初計画の8割以上は予定通りに進めることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の計画は、平成24年度後半に予定していた光増幅と、さらに増幅光による非線形効果を用いた光の広帯域化が主要な目標である。増幅後の光出力は200mWを予定しているが、テーパーファイバーを用いた場合、1W以上の出力が期待できる。まずはサイドバンド構造を保ったままどの程度増幅できるかを試験する。次に広帯域化は当初予定通りフォトニッククリスタルファイバー(PCF)を用いる。PCFでの広帯域化は、入射光の瞬時強度に大きく依存するため、光パルスの分散を変化させつつ最適なファイバー長を探す。PCFの最適長は数値計算では見出すことが困難である。このため計画でも大きく予算を割いたように、長いPCFを用意し、自分でファイバーをカットして様々なPCF長を試験する。帯域幅の目標は計画の通り5THzとし、フーリエ限界のパルス幅で90フェムト秒以下の超短パルスを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光増幅機構をテーパーファイバーアンプに切り替えたことによる予算の超過と、一部物品の仕様変更による出荷停止により、前倒し請求と購入一時停止のため、現在の状況となっている。次年度使用額は、光増幅関連の光学機器に充当し、当初計画の通りに執行する。
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