2013 Fiscal Year Annual Research Report
DNAナノ構造体を用いた筋肉再構成系の機能的デザインと内部状態イメージング
Project/Area Number |
24654139
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩城 光宏 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (30432503)
|
Keywords | ナノバイオロボティクス / DNAorigami / 人工筋肉 / メカノバイオロジー / モーター蛋白質 |
Research Abstract |
本研究では、1分子計測技術とDNAorigami技術の融合によって、モーター分子集合体の空間的デザインと内部運動計測の技術基盤を創るのが目的である。本年度では、昨年度に作成したDNAorigamiに結合可能なモーター蛋白質の組換え体作成および、実際に結合させてモーター分子集合体を作成とその運動観察を行った。 最終的なゴールとしては、筋肉のモーター蛋白質であるミオシンIIを集積化して天然の空間周期を持つものから、あえて周期をずらしたデザインでの収縮特性の違いを単分子分解能で計測することである。しかし、ミオシンII重鎖の遺伝子工学的な改変が比較的時間がかかるため、技術基盤の確立という意味で、遺伝子工学的取扱いが容易で、すでに組換え体を構築しその運動特性計測も容易なミオシンV,VI,キネシンを用いた。まず、これらのモーター蛋白質のC末にSNAPタグを付加した組換え体を構築した。次いで、その基質であるベンジルグアニン(BG)をラベルしたオリゴヌクレオチドを調製し、組換え体とBGオリゴを反応させてC末に1本鎖DNAがラベルされたサンプルを用意した。ラベルされた1本鎖DNAに相補的な配列を持つDNAorigamiを反応させて、キネシンについては1-3個、ミオシンについては、ミオシンVとVIが最大3個ずつ結合可能な分子集合体を作成した。1本鎖DNAのラベル率や結合した分子の個数の確認は電気泳動によるバンドシフトによって行った。 キネシンについては、個数を増やすことによって、微小管上での1方向運動距離に劇的な増加がみられた(3個の集合体で1個の時の約10倍)。ミオシンVとVIについては、互いに運動方向が異なるために分子間での綱引きが観察された。DNAorigamiの中に、バネとなるフレキシブルなデザインを施しているため、綱引きしているときの張力の観察と張力存在下での1分子動態観察に成功した。
|