2012 Fiscal Year Research-status Report
X線自由電子レーザーを用いた非結晶サブミクロン粒子のナノメートル分解能構造解析
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24654140
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中迫 雅由 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30227764)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コヒーレントX線回折イメージング / X線自由電子レーザー / 三次元再構成 / リボソーム / 分子動力学シミュレーション / 生体分子水和 / 構造因子 / 氷包埋 |
Research Abstract |
本研究は、X線自由電子レーザーを用いたコヒーレントX線回折イメージング法により、分子量百万~数百万の巨大分子集合体や材料粒子についてのナノメートル分解能での立体構造解析方法を確立することを目的とする。このため、現在利用可能なX線自由電子レーザー、集光光学系、CCD検出器などの性能とX線散乱での電子の散乱断面積の両者を考慮しながら、試料形態とX線照射野への導入方法を考案し、その実行可能性をシミュレーションによって確認し、将来の高分解能構造解析に向けた回折理論を検討した。 シミュレーションでは、約4.3億個の水分子で構成された0.5x0.5x0.05 um3のアモルファス薄氷板を大規模分子動力学計算によって作製し、その中に、分子サイズ約25 nm の50Sリボソームサブユニット229個(全原子数約2100万)を、重なりが無くその向きがバラバラになるように埋め込んだ。8枚アモルファス薄氷板について、X線回折実験に特有な幾何学的制約を考慮しながら、Poissonノイズを含めた回折パターンを計算し、位相回復法によって投影像回復を行った。さらに、電子顕微鏡分野で開発された単粒子解析法を適用することで、解像度0.8 nmでのサブユニット粒子の三次元像再生を実施した。 これと並行して、70Sリボソームを単離・精製して通常のX線小角散乱実験によって品質を検査した後、シミュレーションで想定した氷包埋試料を作成して、X線自由電子レーザー実験施設でコヒーレントX線回折イメージング実験に供した。 理論面では、高分解能回折パターンに現れるEwald球面上の回折強度のみから構造因子を推定するため、現状の反復的位相回復法をEwald球面上の回折強度に適用して得られる像は何かを考察し、また、代表者が構築したEwald球面上の構造因子のエルミート行列線形変換による三次元電子密度再構成の理論を精査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期に想定したシミュレーションはほぼ完了し、論文として出版された。また、理論の筋道を多くの理論の考察も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、引き続き、同様の実験・解析を展開して、X線自由電子レーザーを用いたX線回折イメージング実験の可能性を探る。特に、シミュレーション結果に関連して、金属ナノ粒子に関する氷包埋める試料に対するコヒーレントX線回折イメージグ実験を実施して、実際の構造解析の可能性を探る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、実験旅費、学会発表旅費、実験試料作製消耗品と実験データを保存するHDDの購入に充てる。
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