2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654143
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 俊哉 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40272463)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 火山ガス / 化学組成 / 気球 / 阿蘇火山 / 噴煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に製作した二酸化硫黄と硫化水素センサーの装置を新たにもう1セット準備し、地上と上空で同時に測定をすることで、装置を上空に揚げる有効性の確認を行った。センサーとして小型の非分散式の赤外二酸化炭素センサーと湿度センサーを追加した。また、二酸化硫黄センサーの応答速度を上げるため、紫外LEDと小型分光計を用いて二酸化硫黄の濃度を測定する小型装置も作製した。 観測は、2015年2月と3月に阿蘇中岳火山で実施した。阿蘇火山は活動が活発化し、2014年11月には噴火活動が開始したのを受け、阿蘇火山での観測を優先した。観測時、阿蘇中岳第一火口の中央部の噴煙は火山ガス放出とともに火山灰を噴出し、高く上昇して風下へ流れていた。同時に、第一火口南側火口壁からも噴気をあげていた。測定の結果、SO2/H2S比が高いガスと低いガスがあり、それぞれ火口中央と南側火口壁のガスに対応していた。気球で約40m上空に係留したセンサーでは、比の値が高い火口中央のガスを中心に多数回濃度のピークが観測された。一方、地上においたセンサーでは、相対的に濃度が低く、ガス検出頻度も少なかった。また、地上センサーでの比の高い火山ガス測定時の硫化水素濃度は検出限界近くまでしか上昇せず、SO2/H2S比の推定は難しい状況であった。さらに、上空と地上の装置を直接比較は難しいが、同時間帯の二酸化硫黄濃度のピーク値を比較する限り、上空で測定した方が、地上でよりも4倍から10倍、またはそれ以上大きな値を示した。以上から、今回の阿蘇の火口中央部の噴煙のように、高く上昇して風下へ流れていく噴煙を火口リムで測定する場合において、気球を使用した測定の有効性が確認された。 本研究課題で小型化されたセンサーシステムは、今後、係留気球観測だけでなく、ドローンのような無人機の測定でも有効に使用できるものと期待される。
|
Research Products
(1 results)