2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 努 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50321972)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鍾乳石 / 津波履歴 |
Research Abstract |
2011年3月の東日本太平洋沖地震津波依頼,歴史津波に関する関心が高まっている.869年に起きた貞観地震津波などの歴史津波の研究は東日本太平洋沖地震津波以前から行われていたが,これら歴史津波の存在は陸上に残されている津波堆積物の調査や古文書の記述によって明らかにされてきた.このような従来の手法では,津波堆積物が後世の人的な土地改変などで失われてしまえば津波履歴を認定することができなくなる.しかし,沿岸部で過去数百~数千年間ほぼ連続的に成長し,幾度となく津波の影響を受けた鍾乳石には成長様式や化学成分の変化として津波履歴が消去されずに残されていることが期待されるとともに,それらの年代も特定可能である. 本研究の目的は,宮城県気仙沼地域を中心とした東北地方太平洋沿岸部の鍾乳石を用いて過去数千年間の津波履歴を明らかにすることである. 初年度にあたる平成24年度は,気仙沼市神明崎の洞穴群および周辺域の洞穴について,各洞穴の洞口標高のオートレベルによる測量および洞内への3.11津波の流入の有無および影響についての調査を行った.その結果,神明崎の洞穴のうち洞口標高が0-5.4mの5つの洞穴には津波が流入し,8.6mと9.8mの洞穴では津波の影響がないことを確認した.周辺域の2つの洞穴にも3.11津波の流入を確認した.神明崎の洞穴に関しては,各洞穴(洞内の大部分が水没している管弦窟を除く)で鍾乳石を採取した.現在,それらの鍾乳石に津波の痕跡が残されていないかを分析している.また,管弦窟に関しては,ボートを用いた調査を行い,洞奥部の状況を確認するとともに,鍾乳石を採取する計画を立てた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究対象候補であった洞穴について調査を行い,今後の研究対象となる洞穴を決定した.それらの洞穴の洞口標高をオートレベルによって測量し,1つの洞穴を除いてすべての洞穴に入って調査することができた.その結果,当初の予想通り,洞口標高が0-5.4mの5つの洞穴内にはがれきの流入や泥の堆積など津波流入の痕跡が認められ,一方洞口標高が8.6mと9.8mの2洞穴には津波流入の影響がないことを確認できた.地権者の許可を得て,これらの洞穴の一部では鍾乳石の採取を行いそれら鍾乳石を観察したが,鍾乳石表面に明らかな泥などが付着しているというような一目瞭然の津波流入の痕跡は認められなかった.そこで,現在,顕微鏡や電子顕微鏡による表面観察や海水化学成分の付着等の視点から,津波流入の痕跡がこれらの鍾乳石に残されているか,残されている場合にはどのようなものであるか,を分析・検討している. このように研究はほぼ計画通り進行しているが,洞口の下部が海水に没している管弦窟に関しては,洞奥部までの調査が終わらなかった.この洞穴の奥部を調査するためには,ボートを用いた調査が必要であり,必要機材を準備して平成25年度春-夏に調査を実施する計画を立てた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,調査の完了していない洞穴の調査および鍾乳石の採取を行い,また,前年度に明らかにできなかった鍾乳石に記録された「津波の痕跡」の特定作業を進める.さらに,採取した鍾乳石のより過去に成長した部分について「津波の痕跡」の有無を明らかにする作業を開始するとともに,時間軸を設定するために詳細な年縞の観察・分析やウラン系列年代測定を行う.前年度に引き続き,津波堆積物などによる津波履歴の復元結果に関する情報を収集する. 最終年度である平成26年度は,前年度までに終えることのできなかった分析を終えるとともに,それまでの成果をまとめ,津波堆積物などによる復元結果とも合わせて過去数千年間における津波履歴(津波の襲来時期および気仙沼周辺域における浸水深)を明らかにする. 本研究で得られた研究成果は,随時,関係学会や学術雑誌等で広く公表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,平成25年3月に使用し,平成25年4月に支払が確定している.
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