2013 Fiscal Year Research-status Report
SQUIDグラジオメータによる氷床コア中の火山灰の非破壊検出
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24654166
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小田 啓邦 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (90356725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 淳 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 教授 (10468978)
菅沼 悠介 国立極地研究所, 教育研究系, 助教 (70431898)
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Keywords | 火山灰 / 非破壊検出 / SQUIDグラジオメータ / 南極 / 氷 / 氷床コア / 岩石磁気 / 磁性鉱物 |
Research Abstract |
氷床コアに含まれる火山灰層は異なる地点の氷床コア間に同時間面を提供すること、短期間の気候変化につながる大規模噴火によるものもあるので重要である。SQUIDグラジオメータによる火山灰検出に成功すれば、大陸から運ばれる風成塵、宇宙起源のコスミックダストなども検出可能となり、地球環境復元も期待できる。金沢工業大学では医療用脳磁計システムのでSQUIDグラジオメータによる微弱な磁場を検出を行ってきた。グラジオメータは試料直上と離れたところに2つのピックアップコイルを配置することによって磁気ノイズの影響を受けにくいというメリットがある。前回の報告では、桜島で採取された2008年噴火の火山灰を磁性鉱物の含有量が多い火山灰の例として、北海道で採取された姶良Tn(AT)火山灰(噴出年代約2.8万年)を磁性鉱物の含有量が少ない火山灰の例として、これらを寒天に均一に溶かして直径6cm長さ10cmの半円筒に固めたものを模擬火山灰層としてSQUIDグラジオメータにて測定を行った。試料はヘルムホルツ型コイルで円筒の軸方向に25mTの等温残留磁化を着磁した。桜島火山灰は250μg/ccであれば自然状態で検出可能、着磁をすれば25μg/ccでも検出可能であった。阿蘇4火山灰は250μg/ccであれば検出可能であるがノイズとの分離が困難であった。ノイズレベルは2pT程度であったが、今回はノイズ低減のために新たなサンプル移動装置を利用して計測を行った。ポイントソース・半円筒形の氷床コアを模したTiva Canyon Tuffを均質に分散させたファントム(標準試料)に加えて、2013年にナンセン氷原で採取した火山灰を含む氷試料について測定結果が得られた。また、測定に用いたナンセン氷原の氷試料を液体窒素で冷却しながらマイクロフォーカスX線CTによる高分解能撮像にも成功し、火山灰粒子の3次元分布が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内の液体ヘリウム供給の悪化により国立極地研究所で予定していた実験が行えなかった。このため補助事業期間延長承認申請を行い平成26年度に完結することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は液体ヘリウムを確実に入手するため、国立極地研究所ではなく液体ヘリウムの大口ユーザーである金沢工業大学を通して購入することを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
世界的なヘリウムガス供給不足に伴い、日本国内での液体ヘリウムの調達が困難となり、国立極地研究所で予定していた低温室内での氷試料の測定を補助事業期間内に行うことができなくなった。このため、補助事業期間を延長して、次年度に低温室内での実験を行うこととした。 国立極地研究所の低温室での実験のための液体ヘリウム・消耗品の購入ならびにその成果を発表するための経費に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)