2012 Fiscal Year Research-status Report
珪酸塩メルトの超高圧下複合分光測定から探る「深い」マグマオーシャンのダイナミクス
Project/Area Number |
24654170
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 元彦 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401542)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | マグマの構造 |
Research Abstract |
ラマン散乱分光測定システムの導入を、研究代表者と代表者の指導する院生を中心として行った。導入における主たる作業は以下の3点(1)前方散乱構成のための光学系システムの設計、導入。(2)レーザー加熱時に発生する熱輻射の影響の軽減。(3)微小試料からの信号強度の効率的な取得のための共焦点光学系の開発と導入。(1)の工程に関して、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧力条件下でのラマン散乱に関する文献を参考に、複合する他の光学系システムとの光学的、物理的干渉を避けた最適な光学パスについていくつかの設計図を作成し、実際のシステム構築時に最適なものを選択した。(2)に関しては、レーザー加熱を用いた分光測定実験のエキスパートである、カーネギー地球物理学研究所のゴンチャロフ博士と共同で、熱輻射の影響を最小化する対策について検討し、プローブレーザーの波長選択等の最適化をはかった。(3)の開発に関しては、(2)の事項とも関連した重要な工程である。応募者は、共焦点系の光学系の設計に関連して、日本ローパーの技術者とともに最適な設計を行った。(1)ー(3)の作業の結果、炭酸ガスレーザー加熱を用いた高温のラマン散乱システムの構築に成功した。 上記、ラマン散乱測定システムの構築と平行して、ブリルアン散乱システムへのレーザー加熱システムの組み込みも行い、高温高圧での弾性波速度測定を達成させる測定システムを完成させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に記載した通り、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧力条件下でのラマン散乱測定システムの構築およびブリルアン散乱測定シスムへの加熱システムの組み込みを滞り無く遂行する事ができたため。具体的には、ラマン散乱測定においては(1)前方散乱構成のための光学系システムの設計、導入。(2)レーザー加熱時に発生する熱輻射の影響の軽減。(3)微小試料からの信号強度の効率的な取得のための共焦点光学系の開発と導入。の3つの作業工程の達成と、ラマン散乱測定システムにおけるレーザー加熱式システムの組み込みを達成しることができた。また、ブリルアン散乱システムを用いた予備的な実験においては、低圧力条件ではあるが、高温高圧での弾性波速度その場測定を行うことができ、低融点物質のメルトからの弾性波速度測定に成功する事にもしたため、当初の計画以上に進展しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
複合分光測定システムの評価と、珪酸塩メルトの測定開始 ~複合分光測定システムの評価と最適化~ システムの評価には、BK7ガラス標準試料を用いてブリルアン散乱システムおよびラマン散乱システムの校正等を行う。また実際の実験を開始するのに平行して、測定に伴うシステムの改善点等の洗い出しを院生とともに行い、随時システムの改良を行い、すべてのシステムの最適化を終わらせる。 ~珪酸塩メルトの複合分光測定の開始~ 珪酸塩試料は、MgO-FeO-SiO2の3成分系において、マントルを代表する典型的な組成を有する(Mg,Fe)SiO3,(Mg,Fe)2SiO4を使用して実験を行い、複合分光測定を開始する。測定条件は、圧力30万気圧、温度3000Kの条件から始め、圧力は約10万気圧から5万気圧刻み、温度は100度~200度刻みでの実験を行う。平成24年度末までには100万気圧、4000K以上の条件を達成させる。 また、研究計画の進捗に応じて研究協力者との連携を深め、研究計画の年度内の遂行につとめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(7 results)