2012 Fiscal Year Research-status Report
セシウム土壌汚染を微生物ー鉱物相互作用の基礎知見に基づいて浄化する挑戦
Project/Area Number |
24654171
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
赤井 純治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30101059)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | セシウム / 環境汚染 / 鉱物学 |
Research Abstract |
2011年3月の原発事故は大きな衝撃を与え、鉱物学の立場からCs環境汚染にかかわる問題にとりくんだ。鉱物としての粘土鉱物、有機物、さらに微生物ー鉱物相互作用の視点からバクテリアによるCs挙動を扱った。このなかで、、粘土鉱物への吸着、有機物への吸着と溶脱実験、微生物への吸収などを実験的にデータをあつめ、さらに電顕観察で検討した。この結果、わかったことは、ゼオライト、粘土鉱物各種、有機物による吸収比較では、10ppm濃度では、zeolite(1g)で98%以上の高い吸収率,clay mineral (1g)で最大55%、Leaf sample (5g)で、最大60%を示す。1%濃度でもゼオライトで94%以上の吸収を示すが、粘土鉱物では最大15%程度になる。植物のDead & green leaves で最大11%、わずかに吸収する。1:1型より、2;1型粘土鉱物、eに強く吸着した。1%Cs溶液を吸収したMontmorilloniteの層格子を高分解能電顕とEDS分析で組成分析を行い観察しえた。溶出特性は粘土鉱物については多くの溶出実験があり(e.g., Hou et al.,2003)、今回、植物による溶出実験を行った。結果は、例えばcherry tree で100-70%程度に大半が溶出、Dead & green leavesでは大差ない挙動を示す。pine,cherryを比較し吸着構造に違いが推定された。バクテリアによる顆粒状のCs-P(リン酸?)化合物をつくることがわかった。これらの結果にもとづきCsの移動モデル図で再循環、拡散・濃集が進行する様子を考察した。これらは除染への示唆にもなる。以上の結果は、Physics and Chemistry of the Earth 誌(Elsevier) に投稿、間もなく受理となる見込みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題が、深刻であり、実際に福島にでかけ、住民の方々とも対応したこともあり、必死にとりくんだ。この1年間のとりくみとしては、最大限に進んだと考えている。全体像としてのCsの移動モデル図も描け、今後の再循環、拡散・濃集が進行する様子も洞察しえた。これらは、これらは除染への示唆にもなっており、今後に生きると考える。進展状況・達成度としては、以上の結果が、Physics and Chemistry of the Earth 誌(Elsevier) に投稿、間もなく受理となる見込みであることからも、客観的に評価できると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
Csの移動モデル図を念頭に、一つは福島の現地にでかけ、除染への協力、そしてそのなかででてくる課題にとりくむことを考えている。 ひとつ、河川系のCsの移動、海へ流れ込むところでの、粘土の凝集過程もつきとめたいと考える。さらに、これらにもとづいて再循環、拡散・濃集の様子、鉱物のミクロのプロセスでも進展をえて、さらに次のステップの論文をめざしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的な試料採集及び分析関係の消耗品、電子顕微鏡関係の試料作製にかかわる物品、また福島へでかける旅費を考えている。
|
Research Products
(2 results)