2014 Fiscal Year Annual Research Report
X線スペクトルを用いた状態分析による新しいCHIME年代測定の高精度化の試み
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24654174
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 丈典 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90293688)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CHIME年代測定 / 電子プローブマイクロアナライザー(EPMA) / discordance / エックス線分光分析 / 状態分析 / ジルコン / モナザイト / 国際研究者交流(大韓民国) |
Outline of Annual Research Achievements |
CHIME(U-Th-total Pb chemical isochron method)年代測定法は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いることにより、ミクロンスケールの非破壊分析によるサブグレイン地質年代測定法である。この年代測定法は、ウラン・トリウム・鉛の化学組成を用いた年代測定法であり、質量分析計による同位体分析を用いない。そのため、ディスコーダンスを直接検知できないという問題があった。代表者らは、Zheng et al. (2007)やSuzuki & Kato (2008)などで、電子線照射による試料の損傷や化学量論的・鉱物学的手法からディスコーダンスの可能性を検出する方法を提唱してきた。 Kusiak et al. (2013)では、ジルコン結晶内でミクロンスケールで鉛が移動し、年代測定の前提である閉鎖系の仮定が成立しえないことがあることを同位体レベルで明らかにした。CHIME年代測定法や、LA-ICP-MS・SIMSによる年代測定の信頼性は、測定部位が年代測定の仮定を満たしているかどうかに大きく依存する。鉛の移動の問題(Tilton et al., 1957; Scharer & Allere, 1982; Suzuki, 1987; Kusiak et al., 2013)は、放射壊変やウランの自発核分裂に伴う結晶の損傷が原因になると考えられている。そこで、ジルコンおよびモナザイトの結晶構造の損傷を非破壊で検出するため、EPMAを用いたSi及びPの状態分析法を開発した。 インドの変成岩(先カンブリア時代)のジルコンおよび愛知県三河地方の花崗岩(白亜紀)のジルコンのSi K殻イオン化に伴う発光エックス線を解析したところ、SiO4四面体構造が破壊されている可能性を示唆するスペクトルが得られた。 開発段階としては成功と判断し、今後実用化を検討する。
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