2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 亮 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 昇一 福岡大学, 理学部, 助教 (20380595)
福永 啓一 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (10303702)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 原子像 / 造岩鉱物 |
Research Abstract |
本研究では,最新の収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡(STEM)と環状検出器(HADDF/ABF)を用いて,「鉱物中の“水素原子”」の直接観察を目指すことを目的とした.さらに,集束イオンビーム装置(FIB)を用いた原子像をえることのできるSTEM試料作製法の開発を目的とした.最終年度は,前年度までにもとめたFIBの加工条件により,水素原子を含む Norbergite(Mg3SiO4(OH,F)2)およびMg/Fe比の異なるオリビン((Mg,Fe)2SiO4)のSTEM試料作製をおこない,HAADF/ABF-STEM観察を行った.Norbergiteついては,試料ダメージを低減するために液体窒素により冷却するホルダーを用い観察を行ったが,試料ダメージや試料のドリフトにより,像の取得が困難であった.一方オリビンのHAADF/ABF-STEM観察では,酸素を含む原子像を得,得られた原子像からコントラスト強度と平均原子番号の関係を調べた.この結果平均原子番号の2乗とコントラスト強度は一部のものを除いて良い相関を示した.さらにはMg/Feの席占有率も同じ試料を用いX線構造解析を行い,両者の結果を比較した.その結果,一試料を除いて良い相関を示した. 期間全体では,まず岩石薄片からFIBを用いてSTEM試料作製をおこない,HAADF/ABF-STEM観察により原子像を取得することを可能とした.FIBにて作製したオリビン,α-コランダム(Al2O3),カルサイト(CaCO3),NorbergiteなどのHAADF/ABF-STEM観察により炭素,酸素原子といった軽元素の原子像の取得に成功した.しかし,水素原子の直接観察は,試料ダメージを低減するために冷却ホルダーを用いるなど,様々な手法を試みたが,試料ダメージ・ドリフトにより,取得は困難であった.一方,得られた原子像からコントラスト強度と平均原子番号の2乗は一部のものを除いて良い相関を示した.またオリビン中のMg/Feの席占有率についてもHAADF-STEM観察により推定することがある程度可能であることを示した.
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Research Products
(7 results)