2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654177
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
遊佐 斉 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主幹研究員 (10343865)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フラーレン / 超臨界流体 / 高圧 / カーボンナノボール / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素の吸蔵・脱離に関する研究は金属間化合物においておこなわれてきた。しかしながら、水素対重量比の面で不利であるため、金属間化合物以外の軽元素水素化合物の開発が重要とされている。現在まで、アンモニアボラン(NH3BH3)等の物質が注目されてきたが、脱水素化に伴い、構造の可逆性が失われてしまうことが一つの問題となっている。そこで、本研究で注目している物質は、水素修飾フラーレンである。本研究では、高圧状態を利用して、フラーレンに水素を吸蔵する研究のほかに、水素化フラーレンの圧縮挙動の研究をおこなった。その際、高圧下でさらに高温状態に保持することにより、水素化、脱水素化過程の研究が重要となる。高圧状態を直接観察するためには、その場X線回折実験が不可欠であり、軽元素であるため放射光X線の利用が有効である。今までに、高圧水素を圧力媒体にしたフラーレンをレーザー加熱することにより流体化した水素と反応することを示した。また、試料が一部透明化すると共に、C60H36で説明できる回折ピークが出現することを確認した。この試料を丁寧に一気圧下に回収し、高分解能走査型電子顕微鏡により観察したところ、自形を有する結晶が生成していることが明らかになった。この結果は、数GPaもの圧力下で水素化フラーレン結晶が合成された初めての例となった。また、水素化フラーレンを高圧アルゴンガス下で加熱したところ、フラーレン結晶が生成する代わりに、アモルファスかつ真球状のナノサイズのカーボン微小球(カーボンナノボール)が生成することが明らかとなった。これは、セレンデピティな産物であるが、このような形で導電性のある形の揃った微小球が生成されることは、今後の応用を考えても大変興味深いことである。その他、水素化フラーレンそのものおよび、その類似構造物質であるフッ化フラーレンについての高圧挙動についてその性質を明らかにした。
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Research Products
(13 results)