2012 Fiscal Year Research-status Report
ビーム加速用反射型負イオン源を用いた新規イオンエンジンの開発
Project/Area Number |
24654187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 晃 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90182998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 義治 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (30124176)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反射型イオン源 / イオンエンジン / 負イオン / イオン性プラズマ / コンバータ電極 |
Research Abstract |
本研究は、反射型イオン源をもとにしたイオンエンジンを開発し、中和器のない長寿命運転と、推進剤利用を飛躍的に向上させることを目的とし、実験研究を行っている。従来型の正イオン源方式では電流密度を上げられないことや電極損耗が激しいこと、中和器と呼ばれるホローカソードの寿命が長時間運転にとって課題となっていることなど多くの問題点があった。本研究で開発する反射型イオン源では正イオンと負イオンを同数引き出すことで空間電荷制限効果による電流限界もなく小型で高電流のイオン引き出しが達成できる。 今年度は、反射型イオン源の設計を進めるとともに、正イオンと負イオンを同時に引き出すための加速電源構成について検討し、方向性を得たので、予備実験を開始した。さらに、正イオンと負イオンのみから構成されるイオン性プラズマを効率よく生成するために必要な運転条件の検討を実施した。イオン源として実績のある高周波イオン源を用い実験研究を行った。このイオン源内部にセシウム蒸気を導入し、その際のプラズマ密度などパラメータ計測を行い、長時間運転時におけるセシウム蒸気の挙動や定常的に維持するためのオーブン温度制御手法に関する検討を行った。さらに、レーザー光脱離方式を用いてイオン源内の負イオン密度を計測し、電極近傍における正イオンと負イオンの密度比を計測し、添加セシウム量との比較などイオン性プラズマ条件を実現するための条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反射型イオン源の運転時に問題と考えられていたセシウム導入時における定常運転の目処が立ったこと、また、生成された負イオン密度を測定するための計測手法としてレーザー光脱離法を用いるシステムもでき、想定されるプラズマ密度条件下での負イオン量を同定できたことは大きな成果である。 反射型イオン源用のコンバータの設計も進んでおり、また正イオンおよび負イオンを同時に引き出すための電極および電源構成についても検討でき、予備実験も開始できたことで順調に研究が進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は、設計を進めている反射型イオン源を製作し、既存の大型真空チャンバに設置してその動作特性を測定する。装置全体で消費できる電力は1~1.5kWを基準として設計し、コンバータ電極への電圧印加によりその動作特性を評価する。イオン源からのビーム引き大を実施し、既存のファラデーカップ(静電エネルギー分析器)を用いてビーム特性を計測するビーム引き出し電流を計測するとともに、ビーム中性化に関しての基礎研究を行う。すなわち、正イオンおよび負イオンとして引き出されたビーム成分の比較を行い、イオン源の動作条件(ガス圧、コンバータ電圧、温度など)との比較を行い最適化を図る。また、推力測定用の推力スタンドの設計もあわせて実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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