2012 Fiscal Year Research-status Report
ゲルマニウムイマージョングレーティング分光器による大気圧プラズマの構造解析
Project/Area Number |
24654190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平原 靖大 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30252224)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / ラジカル / 分子分光学 / イマージョングレーティング / エシェル分光 / 振動回転スペクトル |
Research Abstract |
大気圧プラズマの発光を、申請者らが赤外天文観測装置として独自に開発したゲルマニウム・イマージョングレーティング中間赤外線冷却分光器(GermaniumImmersionGratingMid-Infrared Cryogenic Spectrograph, 以下 GIGMICS)を用いて高感度かつ高分散な分光計測を行う目的で、下記の開発を行った。(1)大気圧プラズマの背景を冷却可能な、発光を集光する機構をもつチャンバーおよびGIGMICSとチャンバーを接続する入射光導入部の製作,(2)発光集光機構として、“天体望遠鏡と相似な”精密光学系の構築。 冷却真空チャンバーの構築のため、新たにターボ分子ポンプを購入し、名古屋大学全学技術センターで、チャンバーの設計、製作をった。また、振動遷移による微弱な赤外発光を捉えるため、“天体望遠鏡と相似な”精密光学系、すなわち、楕円鏡の焦点と球面鏡の球心を共にプラズマの発光点に一致させることにより、発光点源からの全立体角への放射発光の50 %以上を楕円鏡の出射側焦点(球面鏡の中心の孔近傍)に集め、ZnSeレンズによってF/12に変換しGIGMICSに導入する光学系の詳細な設計と、加工に必要なジグ等の開発を行った。今後、名古屋大学全学技術センターの超精密加工技術と、レーザー干渉計などの精密な測定技術を適用し、大気圧プラズマ中の活性領域の物理的、および化学的性質の解明が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、冷却真空チャンバーに用いる真空排気系の要求性能、とりわけ排気速度に対する要求を満たすポンプとして、コストの点で油拡散ポンプを用いざるを得ないと考えて研究計画を立案していたところ、性能向上と低価格化が進んだ、ターボ分子ポンプの購入が可能になり、本科学研究費によりこれを調達することができた。油拡散ポンプからの蒸気の混入がなく、真空チャンバー内部の構造が簡素になったため、製作過程の短縮化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、GIGMICSを用いたプラズマの分光測定装置の開発を行い、その性能を評価する。プラズマの分光測定においては、N2, Arの強い可視領域での電子遷移を申請者が所有するFT-IR/VIS分光器(Bomem DA-8)で観測しつつ、同一条件下での赤外遷移をGIGMICSのInSbイメージャーおよびSi:As検出器によって測定する。実験に際しては、チャンバー内の冷却した光学部材表面の着霜を防ぐため、チャンバー内をいったん排気したのち、乾燥空気で満たす。チャンバー内の圧力を適宜変化させ、プラズマ内の分子分布およびスペクトルの線形状の変化もモニターする計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大半をミラーの加工代に充当する。また、一部を各種光学部品の購入に充てる。学会などでの研究成果の発表のための旅費を支出する。
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Research Products
(7 results)