2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 道 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362445)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | イオン性プラズマ / 誘電特性 / 密度測定 |
Research Abstract |
まず、大気圧イオン性プラズマの誘電特性の導出を理論的に行った。出発点を正負の複数のイオン各々の運動方程式とし、それらの集積効果を考慮しながら、両極性拡散現象や誘電特性を導出した。誘電特性としては、誘電率が複素数であり、非線形性を含むことに注意した。すると、通常のプラズマと同様のドルーデ型の誘電関数を骨格として、非線形項を含む誘電特性が導出できた。また、両極性拡散電界についても、通常のプラズマと類似する部分と異なる部分があることが導かれた。 次に、大気圧イオン性プラズマの流体モデルに関する数値計算を行った。高気圧プラズマ用の流体モデルコードにおいて、電子を負イオンに置き換え、各粒子の初期密度の空間分布を様々に想定し、密度分布の時間発展を調べた。すると、密度の減衰過程は、ほぼ再結合により説明できた。 そして、誘電特性の確認ならびに密度診断を実験により行った。測定手法としては、容量結合型の希薄イオン密度測定系を用いて、大気圧イオン性プラズマで満たされた空間について、低周波交流信号に対する応答を調べた。大気圧正負コロナ放電、ならびに大気圧プラズマジェット下流部を測定対象とし、ロックインアンプを用いて位相変化と振幅変化を測定した。すると、両者とも低周波域で変化が大きいことがわかり、前述の理論予測内容と比較すると、非線形効果は小さく、ほぼ理論曲線と一致することがわかった。イオン性プラズマ密度は、雰囲気の大気中において1000000-10000000個/1立方cm程度であり、その密度減衰過程はほぼ正負のイオン間の再結合によるものと推定できた。
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