2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧低温プラズマによる止血機序の解明と内視鏡装置への適用
Project/Area Number |
24654194
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北野 勝久 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20379118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 和弘 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (30286786)
伊藤 雅昭 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (40312144)
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Keywords | プラズマ医療 / プラズマ止血 / 大気圧プラズマ / 血液凝固因子 |
Research Abstract |
熱負荷の無い大気圧低温プラズマを用いて、プラズマ医療の一つの応用である止血に関する研究を行っているが、本年度は止血メカニズムに関する研究を主に進めた。LFプラズマジェットと呼ばれる大気圧プラズマ源をがんセンターに設置し実験を行った。プラズマ源はガス流量ならび電圧を可変にしてある。 プラズマ止血の研究で類似したもの散見されるが、臨床現場において止血に使われる方法は多くの方法があり、そのような手法に対して付加価値のある止血を行う必要がある。マウスの尻尾や大型動物の皮膚からの出血に対して研究が行われているものが多いが、それらのほとんどは生体が兼ね備えている止血機構により自然と止血が行われるために臨床的な価値は少ない。前年度までにターゲットとした止血は、一つは腫瘍切除後の実質臓器の断面からの止血であり、もう一つは、自然に止血が行われる毛細血管ではなく、止血処置が必要な太い血管からの出血に対する止血である大腿静脈からの出血である。本年度は、それに加えて、血液の抗凝固薬であるヘパリンが入っている血液に対する止血を試みた。疾患のために体内における血液凝固を防ぐためにヘパリンを常時飲用している患者がいてるが、そのような患者は止血凝固機構が働かないために、出血がなかなか止まらないという問題があり、そのような患者に対してプラズマ止血が行えると実用上のメリットが大きい。 採血した後にヘパリンを混合した血液に対してプラズマ照射を行ったところ、ヘパリンの有無にかかわらず止血が進むことがわかった。ヘパリンは止血カスケードのIXとX因子を阻害するはずであり、これよりも下流側での凝固を促進しており、トロンビン活性かフィブリノゲン分解を直接活性化してると推察される。このことから、ヘパリンを投与された患者に対してもプラズマ止血は有効であると考えられ、プラズマ止血の適用範囲が広がる事が期待される。
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Research Products
(2 results)