2012 Fiscal Year Research-status Report
高周波回転電磁界を用いた電磁プラズマ推進機の先進制御に関する研究
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24654196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八坂 保能 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30109037)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズマ / 宇宙推進 |
Research Abstract |
中温域プラズマの応用としての高周波励起電磁プラズマ推進機においては、従来、プラズマ生成とイオン加熱を周波数の異なる個別の高周波源で行っている。さらに、生成・加熱の物理機構について、これまで定説とされた理論に対して、波動モードに着目した新しい解釈や、より精密な非線形理論構築の必要性が認識されてきている。本研究は、励起波動モードの選択性に優れた回転電磁界アンテナ等を用いた高周波励起電磁プラズマ推進機を試作し、単一周波数高周波源で高効率な可変比推力が実現できることを示すことを目的としている。 既設のプラズマ推進実験装置では磁場強度が1.3 kG、使用ガスがH2であり、1.9 MHz仕様の回転電磁界アンテナに供給可能な電力が1kW 程度となっているため、その印加だけではプラズマは点火しなかった。これを克服するため、1.9 MHz高周波増幅ユニットを製作して電源のパルス電力を設計値20 kWに増強した。なお、この電源は最終的にはインバータとなるが、現時点では製作の容易さ、動作の確実性から真空管によるC級アンプ2回路を用いており、アンテナ巻線との結合は整合回路を省略したタンク回路直結方式として損失の低減を実現した。 既設装置の配置換えと整備を行い、テストアンテナに給電することで、高周波電源の出力が3 kW以上であればプラズマの自己点火が可能であることを示した。また、波動伝搬計測のための2次元駆動プローブ、イオン温度測定のための2次元駆動ファラデーカップを整備した。 回転電磁界アンテナと相補的な性質を持つヘリカルアンテナについて、そのプラズマ生成とイオン加熱の特性を調べた結果、異なる方位角方向モードの波動が互いに逆方向に励起されていることが分かり、その特性を利用した生成と加熱の制御方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りプラズマ推進実験装置の整備が完了し、高周波源の整備も順調に進行して、プラズマの単独点火が実現された。これにより25年度研究実施計画が円滑に遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
回転電磁界アンテナの位相制御のみにより、ヘリコン波(HW)プラズマ生成とイオンサイクロトロン波(ICW)によるイオン加熱の比率が変化できるか、電子・イオンに対するパワー吸収の能動的制御が可能であるか、について、高周波電力を段階的に増加させながら実験を行う。続いて、ヘリカルアンテナを使用した場合の制御性についても検討する。 単一周波数2位相出力のインバータを用いた場合、VASIMRのように2系統の高周波インバータを用いるのに比べて、全効率が改善することをシミュレーションにより示す。また、単一周波数2位相出力のインバータでは、負荷である2つのアンテナ巻線が相互インダクタンスを持つことにより、各電流の位相が影響を受け設定値からずれてくる可能性があるが、この対策を検討する。 これらの成果を総合して、HWプラズマ生成やICWイオン加熱において回転電磁界アンテナやヘリカルアンテナによる選択的方位角モード励振を実現し、プラズマの電子・イオンに対するパワー吸収の能動的制御を実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)