2013 Fiscal Year Annual Research Report
全光検出型電子スピン分光法による電荷輸送過程の電子スピン制御機構の解明
Project/Area Number |
24655001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 公男 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10167851)
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Keywords | 電子スピン / 電子移動 / ラジカル対 |
Research Abstract |
本申請研究は、分子スピンエレクトロニクス研究の基盤となる電子スピンコヒーレンスの高速検出手法の開発を行い、分子内の電子スピン系の動的挙動を解明する手法として確立することを目的として行った。この目的を達成するために、以下の点について検討を進めた。①過渡的な磁気光学効果を観測する全光検出型電子スピン分光システムを組み上げて、電子スピンコヒーレンスの消長の観測と定量的な解析を進める。②素子構造を持つ有機半導体薄膜系に展開し、電荷移動過程でのスピン混合の寄与について提案されているモデルの検証とその改良を行う。 過渡的な磁気光学効果の観測系の構築に向けて、定常状態でのFaraday Rotation(FR)測定装置を組み上げ、最終的に目的とする時間分解FR装置の検出系の性能確認を行った。この中で安定なProbe光の選定、検出系として光学ブリッジを組み上げ、検出条件の最適化を行った。さらに、既存のレーザーシステムにより、pomp-probe法を用いた時間分解測定装置として組み上げた。特に電子スピン分極が強く表れる系を取り上げ、生成するラジカル対の電子スピン分極のスピン動力学的な解析を進めた。過渡的なFR信号以外の観測系からの装置的な搖動がスピン分極したラジカル対に起因する微弱な信号に重畳して現れるので、この要因を取り除くために、外部静磁場との関係も含めた多様な実験配置で改良を行った。このことにより、時間分解FR法の電子スピン系の動力学を解析する有力な分光法となりうることを明らかにした。しかしながら、当初、目的とした電荷輸送過程での電子スピン動力学的挙動を取り扱うために十分な質の高い信号を観測するに至っていない。この点については、高速・高感度検出系の最適化が今後の主要な課題であると判明した。この研究を通じて、全光検出型電子スピン分光法の新しい応用を開拓する契機を提供したと確信している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Effect of Acceptor Lamination on Photocarrier Dynamics in HoleTransporting Hexabenzocoronene Nanotubular Self-Assembly2013
Author(s)
Wakikawa, Y., Ikoma, T., Yamamoto, Y., Fukushima, T., Aida, T., Akiyama, K
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Journal Title
J. Phy. Chem. C.
Volume: 117
Pages: 15295-15305
DOI
Peer Reviewed
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