2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655007
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
首藤 健一 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (40300876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞銅 雅子 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (10345481)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 固体表面 / 吸着分子 / 原子スケール / 超高速振動 |
Research Abstract |
超短パルス=レーザーを用いて、金属表面に自己組織化配列で整列した分子の反射率のポンプ=プローブ計測を行い、分子振動に伴う超高速過渡応答から、光励起の緩和として現れる分子の歪みを解析した。 先ずシリコンウェハー上にイオンスパッタ法で作成した金の薄膜を試料基板とした。自己組織化配列する分子としては典型的な芳香族であるベンゼンチオールを用いた。このベンゼンチオールのエタノール溶液に金薄膜基板を浸潤することで、表面上に単分子の吸着配列をつくった。金表面に関しては、この分子吸着試料のラマン応答(在来光源を使った定常光計測)のプラズモン共鳴から荒さを見積もれることを示した。 そして、この表面で、約8フェムト秒の時間幅を持つパルスレーザーを照射して、その後の光反射率による過渡誘電応答の変化 および 反射光の偏光応答による異方的なゆがみの変化をフェムト秒スケールで計測した。その結果、電子励起からベンゼン骨格の振動モードへの緩和と、その後の分子振動に依る光学応答の実時間計測に成功した。光応答は分子のゆがみと比例すると考えられ、実時間で振幅解析から分子振動に依る変位の位相を不確定性限界まで定量的に求めたところ、調和的な単振動とは異なり初期位相に振動が有ることを突き止めた。これは、吸着分子の立体障害か、吸着配列に於ける電子-格子相互作用の強さに起因していると考えら得る。 また、超高真空中でアルゴンイオン衝撃によって層状物質の表面に作る原子スケールの欠陥の電子状態を明らかにした。さらに半導体表面に直接吸着する芳香族の吸着構造の電子状態を解明した。これらの表面ではラマン応答が変化することまで確認した。 以上から、原子・分子のスケールで固体表面に吸着した分子の電子状態変化を明らかにするとともに、単分子スケールで超高速光計測が可能で、その結果は分子振動の実時間位相変化の解析が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実時間での光学測定が単分子スケールで可能なことを示した。 また原子スケールで欠陥や吸着構造をつくり、その電子状態を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
吸着分子の位相変調効果が単分子吸着以外で生ずるか、また結晶薄膜で生ずるか、また その変調効果がどのような非線形あるいは高次ポテンシャルの効果に依るものかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当せず
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