2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武田 和行 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20379308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | MRI / 元素分析 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
初年度である24年度は、主に多核MRIを実現するためのシステムの開発を行った。まず、使用を予定している無冷媒超伝導マグネットにおける磁場の空間分布を測定するために、マイクロコイルNMRプローブを製作した。直径1mmのコイルを用いて、超小型のラジオ波共振回路を構成して直径3mmのロッドに装着した。これをさらに、自作の非磁性xyzステージに装着して、プロトンNMRの共鳴周波数の空間分布を測定した。これにより磁場の均一度を補正するための数値目標を得ることができた。 また、MRIで必要となる、x,y,z方向の傾斜磁場を生成するための3チャンネル電流ドライバを開発した。それぞれのチャンネルにはパワーオペアンプを使用して、定電流回路を構成した。大電流を安定に制御するために回路に試行錯誤を施した結果、30アンペアの電流を自在に制御することが可能となった。 さらに、これまでに開発したNMR分光計を改造してMRI分光計を製作した。具体的には、NMR分光計に3チャンネルの傾斜磁場波形生成機能を生成し、オペアンプ回路を通してオフセット・ゲインの調整を行うことができるようにした。ここから出力される信号を上述の電流ドライバで増幅することにより、x,y,z方向に自在に任意の形状の傾斜磁場パルス照射を行うことが出来るようになった。 傾斜磁場コイルを組み込んだMRIプローブを製作し、植物の茎や小魚のMRI撮像実験を行い、プロトンMRIの画像の取得に成功した。画像の感度や分解能を向上させるために、MRIプローブの改良を繰り返し行い、ノウハウを蓄積することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたシステムの開発は一通り行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、開発した装置を用いて応用実験を試みる。ターゲットは生体および無機材料である。前者においては、解剖学的に重要な構造情報をもたらすプロトンのMRIとともに、生体で重要な役割を果たしているナトリウムやカリウムの空間分布をMRIにより取得することを試みる。したがってプロトン(1H核)とともに、23Na核や39K核をターゲットとする。当初は試験管に封入した水溶液を用い、最終的には植物組織を用いてMRI実験を行う。また後者に関しては、7Li、19F、27Al、31P核をターゲットとして、さまざまな無機材料における元素の空間分布をMRIにより定量的に取得することを試みる。 また、取得するデータの質を改善するために、ラジオ波共振回路の最適化やノイズ対策を継続的に行う予定でいる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、応用の段階に入るため、MRIの試料調整のための試薬費を使用する予定でいる。また上述のように、データの質を改善するために25年度も継続的にラジオ波共振回路の最適化やノイズ対策を行う予定でいる。よって装置開発・改良のために、素材・部品費、回路制作費が必要となる。また、25年度中に本研究課題に使用する無冷媒マグネット運転時間が所定値に達するため、メンテナンスを行う予定でいる。 研究を広く周知させるために、成果を積極的に論文や学会で発表する所存である。したがって研究費を、論文の出版費や学会の参加費および旅費にあてる予定でいる。
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Research Products
(3 results)