2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井村 考平 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80342632)
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Keywords | 単一分子分光 / 吸収分光法 / 近接場光学顕微鏡 |
Research Abstract |
吸収分光法は,物質のエネルギー準位構造を詳細に解明するのに有効な手法である一方,検出感度が蛍光分光法に比べて劣る欠点がある。本研究では,吸収分光法の感度を高める方法として,光照射する空間領域を限定し,これにより相対的に吸光度を高めて,微量物質の測定を実現することを提案した。光照射領域を制限する方法として,開口型近接場プローブを用いることを提案し,開口径の微小化と光源の安定性向上により,最終的に単分子感度に迫る吸収分光測定を実現することを目的とした。前年度までに原理検証を終え,本年度はさらにその性能向上を目指した。性能を向上するためには,数十nm以下の微小開口を再現性良く作製する方法を確立する必要があり,そのための装置を試作した。微小開口は,化学エッティングにより先鋭化した光ファイバーに金属膜を蒸着後,先端を平坦な基板に押し付けて作製する。試作機では,押しつけ量を極微移動ステージを用いて制御するシステムとした。微小開口からの漏れ光は,極めて微弱であることから開口作製と光検出をリアルタイムにできるシステムとした。テスト動作の結果,移動時の振動などが問題になることが明らかとなった。開口プローブの光透過率は,その径に依存することが分かっていたが,本年度入射波長にも依存することが明らかとなった。これは開口近傍の金属膜に光励起されるプラズモンに起因すると推測され,金属膜厚や開口形状を制御することで透過率を向上できる可能性がある。また,試作機性能の改善法も明らかとなっており,現在それを進めている。 上記と平行して,吸収イメージ測定においてしばしば問題となるアーティファクトの除去法として独立成分分析法の導入を進めた。この解析法の導入により,本研究で提案する吸収測定法の汎用性が高まることが期待できる。以上の通り目的を達成するには至っていないが,その実現に向けて相応の成果が得られている。
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