2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655025
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 昌巳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00178576)
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Keywords | 有機光化学 / 有機結晶 / 不斉合成 |
Research Abstract |
外的不斉源を用いずに光学活性化合物を得る絶対不斉合成は、不斉合成の手法としてばかりでなく生命の起源説と密接な関係があり、化学の分野のみならず広い学問領域から注目されている。 本研究では,アキラルなクロモンカルボン酸誘導体を溶液中で太陽光照射すると,光学活性な二量体を効率良く与える系を見出した。さらにこの二量体はモノマーとほぼ同じ吸収波長を有しており、太陽光照射により原料のモノマーに選択的に開裂することで,二量体の見かけ上のラセミ化が同時に進行した。二量体はモノマーに比べ溶解度が低いために溶媒と濃度を選択することにより光照射中に反応系中に晶出してきた。この際にコングロメレート結晶のどちらか一方の鏡像体が優先的に晶出することで反応系全体に不斉が発現し、反応の進行に伴い不斉増幅が起こることを解明した。 24年度はC2キラルな光学活性化合物の生成の機構を明らかにするとともに,変換可能な多くの官能基を有している二量体を多彩な有機不斉反応の触媒や有機金属触媒の配位子として利用した。これまでに例のない不斉の発現と増幅を実現する本反応の一般性と,得られた光学活性体の有効的利用法を開発した。 25年度は,不斉配位子をアルデヒドへの不斉アルキル化の触媒として利用した。クロモンカルボン酸アミドを光照射することで二量体を合成し,さらにカルボニル基をNaNH4還元しジオールを立体選択的に合成した。得られた不斉配位子を用いて,ジエチル亜鉛のアルデヒドへの不斉アルキル化を95%ee以上の光学純度で達成した。 以上のように,アキラルな化合物の光照射により,光学活性化合物を簡便に合成する手法を開発し,さらに得られたC2対称化合物を配位子とする不斉合成を達成することに成功した。
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Research Products
(23 results)