2013 Fiscal Year Research-status Report
可視光触媒化学に基づく二酸化炭素のゼロエミッション型化学変換法の開拓
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24655026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90273268)
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Keywords | CO2固定化 / 可視光 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
平成25年度までに、幾つかの新規な配位飽和型イリジウム錯体の合成を行った。光増感剤(既存のビピリジン関連配位子をもつイリジウム錯体)の可視光照射によって励起された電子がこの配位飽和型イリジウム錯体のLUMOに移動し、この活性電子によってCO2からCOとギ酸が生じることが判明した。現在より構造的に安定なイリジウム錯体の合成を行っている。続いて光増感剤がなくても可視光によって励起されると期待される新しい遷移金属錯体の合成を行った。その結果、二価として存在することのできるイリジウム錯体を合成できた。実験室内の光を吸収して1価イリジウム錯体から1電子が励起され、空気中の酸素(酸化剤)によってその励起電子が奪われた可能性が示唆された。この錯体はより容易に高い量子効率で励起状態への移行が可能だと推測される。このイリジウム錯体を用いて光増感剤なしで可視光照射下、水素ガスを用いて直接的にCO2を還元する反応系への展開を計画している。そのための新しい光実験用の実験設備の設計と整備をほぼ完了した。この実験設備を用いれば低温から高温まで広い温度範囲で可視光照射実験が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
20種類以上の遷移金属錯体を合成することに比較的長い時間をとられている。またより効果的な実験設備の設計と用意・購入に時間がかかったが、ようやく本反応であるCO2の資源化反のための反応を可視光照射下でほぼ行える状況が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
分子触媒(遷移金属錯体)の光励起に基づく光触媒反応では、光励起された分子触媒の分解や失活が大きな問題となる。また分子触媒の励起状態の寿命をのばし効果的にCO2と反応させることも必要である。これら両者の課題解決のためにより低温で光反応を行うことは一考に値する。これまでCO2への電子移動・水素移動シャトル本体となる分子触媒の構造的安定性の問題についてはあまり議論されてこなかったが、その構造的な安定性を長時間の可視光照射下で確保し電子移動活性を同様に長時間維持するための方策である。より高いTONやTOFでCO2の還元に資することが期待される。
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Research Products
(16 results)