2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 教授 (40314273)
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Keywords | フラーレン / 開口フラーレン / 内包フラーレン / 有機合成 / 窒素分子 / 酸素分子 / 水分子 / 硫黄 |
Research Abstract |
フラーレンC60は内径約3.7オングストロームの中空構造をもち、その空間はH2O,N2,O2等の小分子を内包するのに最適な大きさである。我々の研究グループではフラーレンの炭素骨格の変換反応を機軸とし、これまでにヘリウム原子や水素分子、さらに水分子を内包したフラーレンの合成法を開発してきた。しかし、N2やO2等のさらに大きな分子を内包させるには、開口部のサイズを効果的に拡大する手法を開発することが重要である。本研究では、フラーレンC60に巨大な開口部を構築する反応を開発し、H2O,N2,O2を内部に導入することを目的に以下の検討をおこなった. TDAE (tetrakis(dimethylamino)ethylene) 存在下、開口C60のテトラケトン体と単体硫黄との熱反応により、開口部に硫黄が1つ挿入され、開口部が17員環に拡大された誘導体を合成した。この化合物では、理論計算の結果N2が容易に通過する開口部をもつと予想されたため、まず内部へのN2の導入を検討した。水分子を内包したこの化合物の粉末を真空下で加熱した後、高圧の窒素ガスと室温で接触させた。次に、N2の放出を抑制するために、開口体の4つのカルボニル基の1つをアルコールへと還元した。得られた生成物は、1H NMRおよび質量分析の結果から、H2OあるいはN2を内包した化合物の混合物であったが、HPLC (Buckyprepカラム)で精製することによりN2内包体を単離することができた。同様にO2の骨格内部への導入にも取り組み、HPLCによる精製を試みたところ、純度約90%のO2内包体が得られた.N2内包体およびO2内包体の単結晶を作製し、X線構造解析をおこなった結果、窒素分子および酸素分子は開口体の中央に位置し、長軸を開口部に向けていることが明らかとなった。
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[Journal Article] X-Ray Observation of a Helium Atom and Placing a Nitrogen Atom inside He@C60 and He@C702013
Author(s)
Morinaka, Y.; Sato, S.; Wakamiya, A.; Nikawa, H.; Mizorogi, N.; Tanabe, F.; Murata, M.; Komatsu, K.; Furukawa, K.; Kato, T.; Nagase, S.; Akasaka, T.; Murata, Y.
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 4
Pages: 1554
DOI
Peer Reviewed
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