2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60144432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 孝紀 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50550125)
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Keywords | 不斉触媒 / 有機触媒 / ハロゲン化 |
Research Abstract |
本研究では、キラルなアミンを有機触媒として用いる事により、入手容易なアルコールを光学活性な有機ハロゲン化物に変換する新方法論の創出を目的とした。まず、光学活性なフェネチルアルコールを基質に用い、種々のアミンの添加効果を検討した。アミン塩基の構造の差異によって生成物の立体が大きく影響を受ける事から、本法が新しい不斉合成手法となり得ることを確認した。すなわち、ピリジン誘導体では、概ね立体反転を伴って反応が進行するのに対して、2級アミンでは立体保持での反応が優先し、3級アミンではラセミ体を与えた。一方、嵩高い3級アミンでは立体保持の生成物を主に与えた。また、選定した反応条件ではエナンチオ過剰率の低下が起こることから、本研究で二つの反応機構が競争的に進行している事が明らかとなった。 これらの成果を基に、ラセミ体アルコールを用いて不斉誘導を検討した。キラルな含窒素複素環化合物を中心に、適切な不斉触媒の探索を行った。ジイソプロピルエチルアミンを共塩基として用い、不斉アシル化反応に有効なBTMを用いたところ、ほぼラセミ体の生成物が得られたのに対して、シンコナアルカロイドやPPY*の様なキラルピリジン系触媒を用いると、10から20%eeで対応する塩化物が得られた。また、求核触媒としてキラルホスフィンも18% ee程度の光学収率を示した。 上記の如く、本研究ではキラルおよびラセミ体アルコールを基質として、様々な反応条件下で種々の試薬を用いてハロゲン化の検討を行い、当初の作業仮説の通り、アルコールのハロゲン化反応を異なる二つの反応機構を経て進行させ、生成物の立体化学を制御する事が可能である事を明らかにした。しかし光学収率が十分ではなく、各反応過程の速度を明らかにし、その制御を含めた試薬の相互作用に関する更なる検討が必要である。
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