2013 Fiscal Year Annual Research Report
デルタアミノレブリン酸の実用的合成法を目指した新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
24655033
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松原 亮介 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401223)
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Keywords | レブリン酸 / デルタアミノレブリン酸 / 酸化反応 |
Research Abstract |
バイオマスであるレブリン酸を、重要な生理活性物質であるデルタアミノレブリン酸(DALA)へと直接的に変換する実用的化学合成法は未だ報告例がない。本研究では、当量廃棄物をなるべく生じることなくレブリン酸をDALAへ変換する新奇触媒系の構築を目的とした。その目的を達成するための手段として、我々は酸化条件下での炭素‐水素結合活性化反応に着目した。炭素‐水素結合は通常不活性であるが、近年選択的に炭素‐水素結合を活性化する手法が報告されつつある。ケトンのα位に対して選択的に炭素‐水素結合活性化を行うことができれば、レブリン酸をDALAへと効率よく変換できると考えた。 前年度において、Barton反応を主に検討したが良好な結果を得ることができなかった。そこで当年度においては鉄触媒を用いて酸化反応を検討した。 近年Whiteらは、触媒として鉄錯体を用いる炭素‐水素結合活性化反応を報告している。我々は、この鉄触媒を用いて検討を行うこととした。 しかしながら、その合成においていくつかの問題点が生じた。リガンドの窒素原子上の保護基の脱保護を文献記載の方法で行ったが、反応が全く進行しなかった。さらに他の条件においても検討を種々行ったのだが、やはり反応は進行せず原料が回収された。 そこで我々は、独自の経路によりリガンドの合成を試みた。具体的には、窒素上の保護基を外すタイミングを変え、最終段階での窒素上の保護基をより容易に外すことのできるターシャリーブチルオキシカルボニル基とした。その結果、高収率で目的とする鉄触媒のリガンド部位の合成ができた。 また、レブリン酸が水に容易に溶解する性質を利用して、水系溶媒中での酸化反応も検討した。亜硝酸ナトリウム、過酸化水素水、硝酸、過酸などを用いて、反応を行ったが、現在のところ反応は全く進行していない。
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