2012 Fiscal Year Research-status Report
近赤外吸収色素内包型チオフェンデンドリマーによる革新的太陽電池用光捕集増感剤開発
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24655035
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久保 由治 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80186444)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 近赤外吸収色素 / ボロンジピロメテン / チオフェンデンドリマー / 有機薄膜太陽電池 / 色素増感太陽電池 |
Research Abstract |
本研究の目的は,チオフェンデンドリマーで共役的に近赤外吸収増感色素を内包するアプローチを用いて,革新的「有機薄膜太陽電池用光捕集増感剤」を開発することである。平成24年度は,実施計画にそった目的色素の合成と関連機能の発現をねらった。 1. チオフェンデンドロンの合成とジブロモビス(イソインドール)メテンホウ素錯体との反応 R. C. Advinculaらの報告(Org. Lett. 2002, 4, 2067)を参考にチオフェンデンドロンの合成を開始し,第1世代および第2世代チオフェンデンドロンを得た。目的物の合成にあたって,色素骨格への導入の可否を検証するため,それぞれのデンドロンをスタニル化し,ジブロモビス(イソインドール)メテン色素とのクロスカップリング反応を実施したところ,チオフェンデンドロン-ビス(イソインドール)メテン共役体が合成できることがわかった。しかし,その共役体を用いて近赤外吸収特性の付与に欠かせないB,O架橋反応を試みた結果,目的色素を同定することができなかった。これを受けて,B,O架橋反応を必要としない類縁色素の合成をすることに変更した。 2. 色素増感太陽電池への展開 本研究では合成を主体におこなったために,いくつかの有用な中間体を得ることができる。その中間体から派生する機能性色素の開拓は研究資源の有効利用の観点から意義があるものと考えた。そこで,酸化チタンへの親和性をもつシアノアクリル酸を導入した関連色素を合成した。興味深いことに,得られた色素体を用いて色素増感太陽電池デバイスを作成した結果,約5%の光電変換特性をもつに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的色素を得られていない理由として,当初設計した目的物の有機溶媒への溶解性が十分ではない可能性がある。そこで,設計を微修正して再チャレンジしている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,設計を微修正した目的色素を鋭意合成している。目下のところ大きな支障はないので,秋までに合成を完了させることを意識して検討をすすめている。その一方で,関連色素が色素増感太陽電池用デバイスに適用できる示唆を得たので,この方面での検討も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は機器メンテナンス費用を抑えることができたので,当該助成金(繰り越し額;20,500円)が生じた。来年度の前半では,合成を主におこなうので,試薬品,溶媒,分離精製用シリカゲル,化合物同定用に重水素化溶媒の購入に充てられる。後半では,目的色素の特性評価として,吸収スペクトル測定,電気化学的測定をおこなうとともに,デバイス試作を計画している。よって,それらに必要な消耗品の購入に使用される。
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Research Products
(3 results)