2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 隆彦 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20264012)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 再生可能エネルギー / コバルト錯体 / 水の酸化反応 / プロトン共役電子移動 |
Research Abstract |
本研究は、コバルト(III)錯体を用いた水分子の酸化反応について、特に酸素―酸素結合形成過程、及びO2分子生成過程について明らかにすることを目的としている。平成25年度においては、主として以下に述べる成果を得た。 トリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPA)を配位子とするビスヒドロキソ架橋コバルト (III)複核錯体による水の酸化反応の詳細について検討した。その複核錯体による水の酸化反応は、2電子酸化体を形成する過程が律速段階である。その2電子酸化体は、DFT計算の結果、ビスオキソ架橋Co(IV)錯体ではなく、3重項ビスオキシル架橋Co(III)複核錯体であることが示唆された。また、そのオキシル架橋部分での分子内ラジカルカップリング反応によりO-O結合が形成されることがわかった。さらに、CSI-MS測定の結果、ビスヒドロキソ架橋コバルト (III)複核錯体が、中性水溶液中でその複核構造を保持していることが明らかとなった。 別途合成したパーオキソ及びヒドロキソ架橋Co(III)複核錯体について、水溶液中で、パーオキソ架橋ビスアクアCo(III)複核錯体と平衡状態にあり、その平衡定数の温度依存性から、その平衡の熱力学的パラメータをΔH° = 5.6 kJ/mol及び ΔS° = 16 J/mol・Kと決定した。 また、水の光酸化触媒反応の条件の最適化を行った。ビスヒドロキソ架橋コバルト (III)複核錯体を触媒、[Ru(bpy)3]2+を光増感剤、NaS2O8を電子受容体とし、ホウ酸緩衝液中(pH 9.3)で水の光酸化反応を行ったところ、触媒回転数は742回、量子収率は88%に達した。 一方、反応過程で形成されるパーオキソ中間体を安定化するため、TPAの1つのピリジン環の6位にネオペンチルアミノ基を導入した配位子した。そのCo(III)錯体の合成を試みている。
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Research Products
(43 results)