2012 Fiscal Year Research-status Report
特異なイオン液体を反応場とした金属錯体による窒素の還元
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24655048
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50209441)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 窒素捕捉 / 窒素の還元 / アンモニア合成 / 電気化学 / イオン液体 |
Research Abstract |
空中窒素を捕捉し、アンモニアへ還元する手法は、100年前に開発されたハーバーとボッシュによる方法から、手法も変化なく、収率も15%程度と殆ど進歩がない。しかも、ハーバー・ボッシュ法は200~300℃、500気圧と高温高圧下という過酷な条件下でないと進行しないことから、低環境負荷な新しい手法の開発が待たれている。本研究では常温常圧下で窒素をアンモニアへ変換するシステムの開発を行った。詳細は,チタノセンやジルコノセンを触媒として用い、この触媒を新規で特殊なイオン液体中に溶解し,水との界面を利用し、電気化学的に窒素を還元するものである。このような触媒を使っての電気化学的還元についてはこれまでに行われており,電流効率で0.28%と極めて低い。しかし、本研究で遂行したシステムでは現在,8%以上と40倍以上の電流効率を達成した。現在、更に触媒等を開発し、収率の画期的向上を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
溶液中での窒素のアンモニアへの変換は電流効率にして0.28%であったのに対して、我々のイオン液体を用いた系では既に8%越えを達成している。ハーバーボッシュ法での15%収率を考えると,我々の手法による8%越えは極めて画期的であり、当初の予定変換効率をはるかに越えるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在用いているイオン液体では、自らの分子内に存在する窒素のアンモニアへの変換の可能性もある。そのため、窒素原子を含まないイオン液体を用いての反応も遂行し始めており,そのようなイオン液体でもアンモニアを生成することを見いだしている。この方針でイオン液体の改良と窒素を捕捉し易い新規触媒の開発により、早期に15%越えを達成したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イオン液体は基本的に自分で合成して開発するしかなく,その原料が現在のところ非常に高価である。そのため、本研究ではその原材料購入費用として使用したい。また、大きな国際会議等での発表も考えており,国内外の出張旅費として考えたい。
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Research Products
(4 results)