2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠原 厚 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60183050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠松 良崇 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70435593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 該当しない |
Research Abstract |
これまでに104番元素RfのSm共沈実験を実現を目指し、その実験手法の確立と条件の決定のために同族元素であるZrとHfおよび擬同族元素であるThの放射性トレーサーを加速器などを用いて製造し基礎的な共沈実験を進めてきた。また、加速器での元素製造とオンラインで沈殿実験を行うための装置開発を同時に進めてきた。 同族元素を用いたSmとの共沈実験では、アンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変化させて沈殿収率の変化を観測し、アンモニウムイオンや水酸化物イオンとの錯形成の強さを調べてきた。各同族元素間に違いが確認され、Rfとの比較が非常に興味深い。同時に化学平衡に到達するまでの時間も調べてきた。これらの結果を2013年度の国際学会で発表することが確定している。また、同時に共沈挙動で本当に各元素固有の沈殿挙動を確認できるのかを確かめるために様々な元素を含むマルチトレーサーを用いた共沈実験も理化学研究所で行った。この結果を2013年度の国際ワークショップで発表する。 装置の開発に関しては、よりRfの実際の実験に向けて溶液量の軽減などを目的として濾過部分の形状の変更やそのための基礎実験などを行ってきた。また装置を自動で制御できるようにLabVIEWの回路をくんで動作テストを行ってきた。 いよいよ加速器オンライン実験の準備が整ってきたと判断できたため、理化学研究所に加速器利用の申請を行い、4日間のビームタイムを取得することができた。2013年度からはいよいよ理化学研究所での加速器を利用した元素合成とオンライン実験のテストを行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画のまさにその通りに現在は研究が進んでいる。そのため、現在は特に大きな変更等は予定しておらず、このまま計画通りに研究を進め、目的を達成したいと考えている。具体的には、24年度の計画は大きく2つに分けられ、基礎的な化学実験と、装置開発における濾過部分等の形状の検討を含めた条件の最適化であった。 「研究実績の概要」に記載した通り、基礎実験として同族元素の放射性トレーサーを製造し、様々に条件を変更させてることで各元素のアンミン錯体と水酸化物錯体の強さを調べることに成功しており、国際学会での発表を申請するに至っている。 装置開発に関しても、溶液量の減量のための濾過部分の形状の変更と、それを用いた基礎実験を行ってきた。特に大きな問題等は発生しておらず、このままRf実験条件の最適化を達成したいと考えている。個々の機器の動作は順調に動いており、今後の加速器実験を行った際の他の装置や測定器との連結が課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、申請書の計画通りに進んでいるので、今後もその通りに進めていけるようにしていきたいと考えている。 基礎化学実験に関しては、同族元素を用いた研究は今後は装置を用いた実験を進め、装置を用いても同様の結果を得られるかのテストをしていく。また、同時に安定な核種を多量に用いて共沈ではなく沈殿の挙動を確認し、共沈との差がないかを確認して化学的性質の考察を進めたいと考えている。その一環として、作成した沈殿の化学種を推定できるような分析法を探し、それに挑戦していきたいとも考えている。マルチトレーサーを用いた研究も解析を進め、成果として論文等の形にまとめたいと考えている。 装置開発については、同族元素を用いた基礎的な共沈実験から信頼できるデータが得られる装置となるように沈殿作成に関する部分を開発していく。その後に理化学研究所に移しての加速器オンライン実験を行っていく。まずは、動作テストから始め、実際に加速器でZrやHfの短寿命の放射性トレーサーを製造し、製造しながら連続してガスジェットで搬送して、装置に吹き付け、オンラインでの共沈実験行う。この結果が基礎実験で得られたものと一致するように、また、動作が安定して動くように装置を改良する。さらに、実際にRfを実験するために、理化学研究所に設置されている自動連続α線側的装置に沈殿装置を連結できるように回路等含めて開発し、2013年度の後期にはRfの沈殿挙動を観測する実験を実現する予定である。これだけでも超重元素に対しては世界で初の成果となる。さらに、溶液濃度を変更し、錯形成の様子を議論していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、基礎化学実験等を進めるための消耗品等は購入していく予定であるが、これらは少額である。申請時の予定では、主に備品として理化学研究所でのオンライン実験時に沈殿装置を他の装置や測定系と連結するための装置とポンプ、それと理化学研究所で実験行うための旅費が主な使用用途である。 予算は計画時よりも少額であるため、備品としては装置開発をやめ、各回路等を個別に購入し、自分で手作りで組んで、テストしていくことを計画している。これにより計画は少し遅くなることは予想される。 旅費に関しては、実際に加速器オンラインでの実験には多くの人員が必要であり、何度も理化学研究所で実験をしつつ、装置を改良していく予定なので、2013年度は旅費として多くを利用したいと考えている。学会やワークショップにおいて予想よりも多くの発表を行えそうであるので、そちらにも使用していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)