2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しいタンパク質再構成法に基づくタンパク質動態解析法の開発
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24655058
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菅野 憲 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 助教 (60466795)
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Keywords | 分析化学 / 生体分析 |
Research Abstract |
本研究は,(1)新しい相補的タンパク質再構成法の確立,および(2)細胞外のプロテアーゼ活性を検出するための環状ルシフェラーゼの開発,を目的としている。(1)の開発により,「タンパク質の再構成法」に基づくタンパク質動態解析の精度および感度の向上が期待できる。平成25年度は申請課題のうち,主に(1)に取り組んだ。 ジャマイカ産ヒカリコメツキムシ由来の赤色発光ルシフェラーゼ(CBR)は,動物組織を効率よく透過する赤色発光を呈する。CBRを適切な位置で分割したCBR断片は発光活性を示さないが,CBR断片同士が近接すると,再び発光活性を回復する。 これらのCBR断片を用い,生きた細胞内でのホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)産生の高感度で可視化検出するためのインジケーターを作製した。細胞膜近傍で産生されるPIP3を認識するプレクストリン相同ドメイン(PHD)にCBR断片および赤色蛍光タンパク質mCherryを遺伝子工学的手法で連結する。もう一方のCBR断片に緑色蛍光タンパク質GFPおよび細胞膜局在シグナルを連結する。蛍光タンパク質の蛍光強度を内部標準として再構成したCBR発光活性を評価することで,精度および感度の高いアッセイが可能である。これらのインジケーター対を発現する細胞を血小板由来増殖因子(PDGF)で刺激したところ,細胞膜近傍でのPIP3産生に基づく発光活性の回復が観察された。 また,本研究で開発したインジケーターを用いれば,1細胞レベルでのPIP3産生を顕微鏡下で観察できるだけでなく,96穴マイクロタイタープレートを用いたハイスループット様アッセイも可能であることを実証した(Anal. Chem., 2013, 85, 11352&--11359)。
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