2012 Fiscal Year Research-status Report
デジタル型の応答曲線を示す蛍光性pHセンサーの開発
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24655059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内山 聖一 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10401225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 蛍光 / 化学センサー / pH |
Research Abstract |
おおむね申請書に記載したとおり研究を遂行し、平成24年度には次の成果を得た。 ①デジタル型の応答曲線を示す蛍光性pHセンサー(デジタル型蛍光性pHセンサー)における構成ユニット比と応答曲線の関係解明…モデルセンサーとして、様々なモル比のNIPAM(疎水性モノマー), DMAPAM(水素イオン結合モノマー), DBD-AA(蛍光性モノマー)を原料とする共重合体を合成し、pHを変化させた際の蛍光応答曲線を確認したところ、DMAPAMユニットが全体の10%程度であるときに、デジタル型の鋭いpH応答を発現することが分かった。一方、DMAPAMユニットが30%以上になると、pH応答自体が消失することも分かった。 ②機能メカニズムの解明…モデル蛍光団ならびにモデルpHセンサーを用いた検討により、デジタル型蛍光性pHセンサーの機能は、水素イオン結合ユニットにおける水素イオンの結合(解離)によってセンサーの三次元構造が変化し、それとともに水素イオン結合性ユニットの塩基性度が協同的に変化することに由来していることを明らかにした。 ③機能pHの異なるデジタル型蛍光性pHセンサーの網羅的開発…構造(塩基性)の異なる水素イオン結合モノマーを新たに4種類合成し、それらとNIPAM, DBD-AAとの共重合体を調製した。現在、これらの機能を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の最大の目標であった、デジタル型蛍光性pHセンサーの機能メカニズムの解明を完了できたため。また、新たな水素イオン結合モノマーを合成することで、様々な機能pH範囲をもつデジタル型蛍光性pHセンサーの開発が可能となり、今後の検討項目として本課題の申請書に記載していなかった生細胞内への応用を企画するまでに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は平成24年度中に成果発表を行う予定であったが、本課題における最も重要な検討項目であった機能メカニズムの解明において、申請書に記載していなかった補足的な実験検討を行う必要が生じたため、計画を変更し、これを平成24年度の当初予定に追加して行うこととした。これに伴い、本事業に関する成果発表を次年度に繰り越し、第73回分析化学討論会(2013年5月18~19日、函館)および26 th International Conference on Photochemistry(ICP2013、2013年7月21~26日、ルーベン、ベルギー)にて行い、その後、原著論文にまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額は、第73回分析化学討論会および26 th International Conference on Photochemistryへの参加費、旅費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)