2012 Fiscal Year Research-status Report
高感度・高分解能質量分析法の開発と反応機構解明手法への展開
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24655061
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内村 智博 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40346820)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザーイオン化 / 質量分析法 / オンラインコールド法 / 多光子イオン化 / 機器分析 / 分析化学 |
Research Abstract |
研究代表者は、レーザーイオン化飛行時間型質量分析法(LI/TOFMS)を用いた有害化学物質の高感度分析手法の開発に従事してきた。このうち、試料の利用効率を向上させることが可能なオンライン濃縮レーザー脱離試料導入法(Online COLD法)を開発した。本手法では、試料導入部に先端を細く加工したキャピラリーカラムを用いる。このカラム先端は、キャリアガスの噴出による断熱膨張のため冷却される。この部分に試料を凝着させ、レーザーを照射して試料を瞬時に導入させる。本研究では、このOnline COLD法に新たな手法を取り入れ、更なる感度向上と高質量分解能を達成する。さらに本申請では、同法の新展開として、試料導入部を試料分子の化学反応場と捉え、反応機構の追跡・解明手段とする手法を開発する。 平成24年度は、Online COLD法を用いた微小・希薄試料の導入による迅速・定量分析法の開発を実施した。脱離レーザーにはNd:YAGレーザーの第二高調波を、またイオン化レーザーには同レーザーの第四高調波を用いた。本研究については、絶対検量線法に加え内標準法の適用が可能かどうか調査した。また高質量分解能の達成のために、キャリアガスの流量とピーク位置の関係について精査した。さらに、本手法により実際に化学反応が起こり、中間体や生成物を高感度検出できるか確認した。試料にクロロフェノールの異性体を用いることで、それぞれ異なる生成物が得られた。また、脱離レーザーを照射した際のキャピラリーカラム先端の温度に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の研究実績のうち、Online COLD法の反応機構解明手法への展開に関する成果についてはAnal. Chem.誌にて報告している。また温度に関する予備実験の測定結果については学会にて報告している。さらに、微量の試料導入に関する研究成果については、分析化学誌にて印刷中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はOnline COLD法を応用し、キャピラリーカラム先端の温度を算出するための実験を行う。キャリアガスの有無と温度、およびその制御法について検討する。また中間体や生成物の生成に関する研究を引き続き実施し、本法の有用性について言及する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記推進方策に基づき、次年度に使用予定である試料導入用キャピラリーカラムの購入費として使用する。
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Research Products
(10 results)