2012 Fiscal Year Research-status Report
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24655068
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
長岡 勉 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00172510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細菌 / 分子鋳型 / 導電性ポリマ / センサ / 散乱光 |
Research Abstract |
この研究では, 細菌/導電性ポリマー複合体を作製し,細菌と外部電極と間で良好な電気的接合の形成を試みる。これにより,細菌の物性の検討や細菌のリアルタイムセンシング技術への発展を目指す。申請者らは最近 ,導電性ポリマが細菌を極めて容易に取り込むことを見いだした。この研究では,このポリマ膜を利用して,細 菌/導電性ポリマ複合体による電気的接合子を作製し,細菌内の情報を電気的に読み取り,さらに,電気刺激により細菌の機能を制御する技術の確立を目指す。 平成24年度に実施した研究 1)菌/ポリピロール複合体の作製に関する検討 細菌をドープしたポリピロール薄膜を金電極上に作製した。細菌として,緑膿菌,大腸菌などを検討した。細菌は生きた状態で膜内に取り込む必要があるため,弱酸性から中性 のpH条件で検討した。また,ピロール膜にアルギン酸を同時ドープした膜についても生存率の検討を行った。さらに,チオフェン系のポリマ膜についても検討を行った。検討の結果,pH中性条件で重合が可能なチオフェン膜が特に高い生存率を与えた。 2)細菌/導電性高分子/金属ナノ粒子コンポジットの作製 まず,細菌・ナノ粒子複合体の検討を行った。細菌は負に帯電しており,陽電荷を有するナノ粒子で複合体の形成が確認された。一方,陰電荷を有するナノ粒子ではこのような複合体形成は見られず,複合体形成には金属ナノ粒子の電荷が重要であることが分かった。このナノ粒子としてポリアニリン-ナノ粒子からなるコロイド粒子を作用させたところ,非常に強固な吸着がおこり,強い散乱光が観測され,細菌の検出に利用できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)細菌を80%以上の生存率でポリマー膜に組み込むことが可能となったこと。 2)(1)により,生きた細菌の直接的測定(電気化学,分光学)が可能となったこと。 3)細菌-ナノ粒子コンポジット,並びに細菌-ナノ粒子-導電ポリマ粒子コンポジットの作製が可能となったこと。 4)(3)により細菌の高感度検出が可能となったこと。
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Strategy for Future Research Activity |
1)細菌への直接電子移動と電気化学的測定を行う。これにより,細菌の活動状況をボルタングラムにより解析が可能となる。 2)細菌/導電性ポリマ/金属ナノ粒子コンポジットの高効率発光を試みる。これにより,1個の細菌の活動状況が分光学的に顕微鏡下で観測できるようになる。導電性ポリマ材料として,透明導電材料であるPEDOTも用いて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は誌薬類,その他実験用消耗品(ITOガラス電極等)の購入に使用する。旅費はこれまで得られた成果を積極的に発信するため,国際学会参加費等に使用する。人件費として大学院生実験補助に使用する。その他費として,別刷購入,SE-SEM使用費などに充てる。
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Research Products
(12 results)