2012 Fiscal Year Research-status Report
無保護のアミノアルカンを用いる含窒素化合物の直接的触媒的合成法の開発
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24655075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 恭弘 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90334341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アミノアルカン / フルオレニリデン / 触媒反応 / 含窒素化合物 |
Research Abstract |
アミノアルカンの窒素原子隣接位炭素原子上の水素原子を脱プロトン化してアニオンを生成させ、求電子剤と反応させる手法は、有機合成化学において非常に魅力的な手法である。しかし、これまでアミノアルカンのこの位置の炭素上の水素原子の直接的活性化は、窒素原子上の水素原子の酸性度が炭素原子上のそれよりも高いことから非常に難しいとされていた。そこで筆者らは、フルオレニリデン基を触媒的に用いるアミノアルカンと求電子剤との反応を計画した。アミノアルカンの窒素原子上のフルオレニリデン基は、その窒素原子隣接位炭素原子上の水素原子を高度に活性化でき、また同時に外部アミノアルカンとの間でアミン交換を起こすことができるため、フルオレニリデン基の生成物―基質間での移動を伴うアミノアルカンの触媒的な活性化が可能ではないかと考えた。そこで、この着想に基づきグリシンエステル塩酸塩のα,β-不飽和カルボニル化合物への1,4付加反応を、塩基存在下フルオレンノンイミンを触媒量用いて検討したところ、若干ながらフルオレニリデン基が触媒的に機能し、目的物が得られることを見いだした。現在、本反応の最適化を行っている。 一方で、アミノアルカンを用いる触媒的反応開発を指向し、フルオレニリデン基を有するアミノアルカンを基質として用いる手法を拡張すべく検討を行った。その結果、フルオレニリデン基を有するグリシンエステルやα―アミノニトリルのSchiff塩基が、アルデヒドやイミンに対して効率的に付加することを見いだし、フルオレニリデン基の保護・活性化基としての新たな可能性を明らかにすることができた。さらに、フルオレニリデン基の還元体であるフルオレニル基を保護基とするイミンを用いることにより、別のイミンとのイミン―イミンカップリング反応が触媒量の塩基によって進行する可能性を見いだした。現在、これらの反応についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、フルオレニリデン基を触媒的に活用するグリシンエステルの1,4付加反応の可能性を見いだすことができた。また、アミノアルカンに対するフルオレニリデン基の保護・活性化基としての新たな可能性、およびその類縁体であるフルオレニル基の性質を活用するイミン―イミンカップリング反応の新たな可能性を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フルオレニリデン基を触媒的に用いるアミノアルカンの反応開発について引き続き検討を行う。一方で、フルオレニリデン基やその還元体であるフルオレニル基を活性化基として活用する有機合成反応開発についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続きフルオレニリデン基を活用する有機合成反応の開発研究を行う予定であり、その遂行に必要な試薬や溶媒、不活性ガス等の研究消耗費として主に研究費を使用する予定である。また、研究成果を学会発表する際の旅費としても使用したいと考えている。
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