2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (50169885)
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Keywords | アリルアルコール / システイン / ペプチド修飾 / ルテニウム / アリル化 |
Research Abstract |
細胞内で生合成されたタンパク質は翻訳後修飾(PTM)され、はじめて生物機能が附与される。数多くの修飾可能アミノ酸残基のなかでシステインのチオール(SH)基は、PTMにおける重要な被修飾官能基である。機構解明や新規医薬品開発の観点から、タンパク質を人工的に修飾する「合成生物学」が注目されている中で、如何にSH基を効率的に官能基化するかが肝要であり、本研究では、「水系溶媒・室温」での脱水的アリル化をタンパク質SH修飾法として設定し、その実現を目指した。 目的を達成するにあたり、当研究室で開発された脱水的アリルエーテル合成触媒、[CpRu(h3-C3H5)(2-C9H6NCOO)]PF6を取り上げた。これまでに、単純なチオール基質でのSアリル化機能を調査し、本触媒系が有効であることを確認している。様々な溶媒を用いることができ、水–メタノール1:1の水系溶媒でも脱水的に反応が進行する。 本研究ではまず、ペプチドの最小単位であるシステインのSアリル化を検討した。システイン塩酸塩に対して、水–メタノール1:1、1モル量のアリルアルコールを作用させると、1時間で反応が完結し、目的とするS-アリルシステインを得た。pH 4.7酢酸緩衝液–メタノール1:1溶媒中でも反応が進行する。b位にメチル基やフェニル基、n-ヘキシル基、n-ウンデシル基などを導入することもできる。基質をトリペプチドであるグルタチオンとしても、同様に種々のβ位置換アリル基を導入することができた。ジペプチドやトリペプチドのアリルスルフィドも定量的に合成することができる。この結果を基盤に、遊離メルカプト基をひとつ持つウシ血清アルブミンを標的として、そのアリル化を試みた。これをCpRu触媒条件下、b位にn-ウンデシル基をもつアリルアルコールを添加すると、MALDI-TOF MSにてアリル基に相当する分子量が増加した生成物を得た。
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Research Products
(6 results)